ヒトではこれまでに約100種類のレクチンが同定され、C-type、siglec、galectin、P-type、R-type、M-type、L-type、calnexin、ficolins、chitinase-like、F-box lectin、intelectinなど約10種類のファミリーに分類されているが、その全貌把握とは言いがだく、個々のレクテンに対する機能解析も、一部を除いては不十分なものが多い。また機能解明への大きな手掛かりとなる糖鎖との相互作用データに関しても、解析手法が統一されていないため、レクチン間の糖鎖結合特性を系統的に比較する事が困難である。これらの理由から、ヒト体内における糖鎖-レクチン間の相互作用、及びそれを介した情報伝達機構は未だ十分に理解されていない。バイオインフォマティクスを利用して、ヒトのゲノム配列を対象としたデータマイニングを実行したところ、現在知られているヒト内在性レクチンをはるかに上回る数のレクチン候補遺伝子が存在することが示唆された。そこで本年度はヒトゲノムから抽出されたこれらレクチン候補遺伝子をFc融合タンパク質として発現し、その糖鎖結合特性を糖鎖複合体アレイでスクリーニングした。その結果、複数の新規レクチンの同定に至った。すなわち、C21orf63タンパク質がヘパリンやヘパラン硫酸などの硫酸化糖鎖に結合する新規レクチンであることを見出した。更に、ZG16がマンノースに結合性を示す新規レクチンであることを見出した。現在、ZG16の詳細な糖鎖結合機構、組織分布、機能に関する研究を行っている。
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