研究課題
ヒトではこれまでに約100種類のレクチンが同定され、C-type、siglec、galectin、P-type、R-type、M-type、L-type、calnexin、ficolins、chitinase-like、F-box lectin、intelectinなど約10種類のファミリーに分類されているが、その全貌把握とは言いがたく、個々のレクチンに対する機能解析も、一部を除いては不十分なものが多い。これまでにバイオインフォマティクスを利用して抽出したレクチン候補分子のうち、計80種類の糖鎖結合特異性を糖鎖複合体アレイでスクリーニングした結果、複数の新規レクチンの発見に至っている。そのうちマンノースへの結合性を示したZG16に関し、その詳細な糖鎖結合特異性と親和性を、糖鎖複合体アレイとフロンタル・アフィニティクロマトグラフィー(FAC)で解析した。その結果、本レクチンは高密度マンノースに特異的に結合することを見出した。更に、細胞表面にマンノースを高密度に提示する各種真菌に結合することが分かった。リアルタイムPCRで解析した結果、本レクチン分子のmRNAは、肝臓、膵臓、小腸に局在していることがわかった。更に、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体を作製して本レクチンの組織分布を調べてみると、上部から下部に至る消化器系の外分泌系の細胞に局在していることがわかった。上部から下部にいたる消化器系に局在すること、真菌に結合する活性を有することから、本レクチン分子は真菌に対して何らかの機能を有することが予想された。そこで、本レクチンの真菌に対する抗真菌活性や小腸上皮細胞への接着阻害について検討した。しかし、抗真菌活性や接着阻害活性は確認されなかった。ZG16の機能解明に向けて、更なる検討が必要である。
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