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2009 年度 実績報告書

一分子FRET法による分子モーターキネシンの二足歩行メカニズムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 21370066
研究機関東京大学

研究代表者

富重 道雄  東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (50361530)

キーワード分子モーター / 生物物理 / 一分子計測(SMD) / ナノマシン / 細胞内輸送
研究概要

本研究は分子モータータンパク質キネシンがATP加水分解によって得られたエネルギーを仕事に変換し、さらに二つの頭部を交互に動かして二足歩行する仕組みを「構造レベル」から明らかにすることを目的とする。そのために本年度は、これまでまだ解か
れていなかったヌクレオチドが結合していない状態でのキネシンモータードメインを結晶化し、その構造を解析した。すでに解かれているATP結合またはADP結合状態のキネシンの構造と比較したところ、ヌクレオチド結合部位が閉じた構造をとることや、二つの頭部をつなぐネックリンカー部位の根元の構造が変化することが明らかになった。このような構造変化により、ADP解離後はネックリンカーの向きが進行方向とは反対方向に束縛されやすくなることが示唆された。この仮説を検証するために、ネックリンカーに特異的に金粒子を結合させ、その位置をクライオ電子顕微鏡で観察したところ、金粒子の位置がネックリンカーの根元から後方にシフトすることが裏付けられた。このようにヌクレオチドフリー状態でネックリンカーが後ろを向きやすくなることは、二量体キネシンの運動において、二つの頭部が前後関係を認識し互いに協調し合うために重要であると考えられる。これを検証するために、ネックリンカーを人工的に伸ばして向きの自由度を増した変異体キネシンの微小管上での構造状態を-分子FRET法で観察したところ、前後の頭部のネックリンカーがどちらも同じ方向を向き、頭部のヌクレオチド状態が同じになることが示された。これらの結果はネックリンカーの引っ張られる向きによってキネシン頭部は前後を区別し、二つの頭部が協調して二足歩行運動を行うことができるという仕組みを示唆するものである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009

すべて 学会発表 (7件)

  • [学会発表] キネシン頭部の選択的な前方着地におけるネックリンカーの役割2010

    • 著者名/発表者名
      磯島広
    • 学会等名
      日本生物物理学会第47回年会
    • 発表場所
      アスティとくしま
    • 年月日
      2010-11-01
  • [学会発表] キネシン1モータードメインのヌクレオチドフリー状態での結晶構造解析2010

    • 著者名/発表者名
      牧野司
    • 学会等名
      日本生物物理学会第47回年会
    • 発表場所
      アスティとくしま
    • 年月日
      2010-10-30
  • [学会発表] Structural basis for the mechanochemical coupling of kinesin-1 revealed by crystal structural and biochemical analyses2010

    • 著者名/発表者名
      Tsukasa Makino
    • 学会等名
      54th Annual Meeting of Biophysical Society
    • 発表場所
      Moscone Center米国サンフランシスコ
    • 年月日
      2010-02-22
  • [学会発表] Optimal size of the neck linker is important for the coordinated nrocessive movement of kinesin-12010

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Isojima
    • 学会等名
      54th Annual Meeting of Biophysical Society
    • 発表場所
      Moscone Center米国サンフランシスコ
    • 年月日
      2010-02-22
  • [学会発表] Single molecule observation of structural changes of kinesin motor protein2009

    • 著者名/発表者名
      Michio Tomishige
    • 学会等名
      International Symposium on Watching Biomolecules in Action
    • 発表場所
      ライフサイエンスセンター、大阪
    • 年月日
      2009-12-15
  • [学会発表] Role of the neck linker on the preferential forward stepping of kinesin2009

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Isojima
    • 学会等名
      International Symposium on Watching Biomolecules in Action
    • 発表場所
      ライフサイエンスセンター、大阪
    • 年月日
      2009-12-15
  • [学会発表] Structural basis for the coordinated processive movement of microtubule-based motor kinesin2009

    • 著者名/発表者名
      Michio Tomishige
    • 学会等名
      International Symposium "Innovative Nanoscience of Supermolecular Motor Proteins Working in Biomembranes"
    • 発表場所
      京都大学 芝蘭会館
    • 年月日
      2009-09-09

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公開日: 2012-07-19  

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