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2010 年度 実績報告書

トレハロースとLEAタンパク質の機能から探る生物の極限乾燥耐性の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 21370068
研究機関東京工業大学

研究代表者

櫻井 実  東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 教授 (50162342)

キーワードLEAタンパク質 / トレハロース / 幹燥耐性 / 水 / ガラス状態
研究概要

昨年度G3LEAタンパク質のモデルとして、11-mer繰り返し配列を2回繰り返した22merモデルを合成し構造特性を調べたが、今年度はこのペプチドに天然G3LEAと同等程度のタンパク質凝集抑制機能があることを乾燥→再水和過程の濁度変化の測定の実験から実証した。また、この凝集抑制のメカニズムを調べるため、リゾチームとこのペプチドを共存させた水溶液及びこのペプチドだけを含む水溶液に対し、分子動力学シミュレーションをおこなった。その結果、前者では時間の進行とともにリゾチームとペプチドが接近し、ついには会合することが見出された。それに対し、後者ではペプチド同士の会合は起こらなかった。詳細な解析によると、ペプチド分子は単独で存在するときは、疎水基が水に露出しないように分子内で折りたたまれているが、リゾチームなどの相互作用相手が存在すると進展構造に変化した後、相手の表面に結合することが判明した。また、リゾチームやこのペプチドを複数個含む系に対し、祖視化MDシミュレーションを実行したところ、リゾチーム表面に複数個のペプチドが次々と結合し、その表面をカバーしていくことがわかった。以上より、このLEAペプチドモデルは他のタンパク質分子の表面をシールディングし、直接の接触を防ぐことにより、凝集を抑制していると解釈された。言い換えると、このペプチドは"分子シャペロン"として働くことがわかってきた。その他、今年度はこのペプチドのイオンスキャベンジャー機能と二次構造の間の相関関係やDSC測定によるガラス転移の解析等に成功した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Computer simulation on interactions between trehalose and diene in aqueous solution2010

    • 著者名/発表者名
      Sakakura, K., Oku, K., Sakurai, M.
    • 雑誌名

      Cryobiol.Cryotech.

      巻: 56 ページ: 173-178

    • 査読あり
  • [学会発表] Molecular dynamics simulation study on trehalose-benzene interactions in aqueous solution2010

    • 著者名/発表者名
      A. Okabe, K. Oku, K. Sakakura, S. Fukuda, and M. Sakurai
    • 学会等名
      Pacifichem 2010 Congress
    • 発表場所
      ホノルル
    • 年月日
      20101215-19
  • [学会発表] モデルペプチドを用いたLEA (Late Embryogenesis Abundant)タンパク質の分子構造とガラス化に与える塩濃縮効果の検討2010

    • 著者名/発表者名
      古木隆生、清水天平、黄川田隆洋、奥田隆、高橋剛、三原久和、櫻井実
    • 学会等名
      第46回熱測定討論会
    • 発表場所
      三重大学
    • 年月日
      20100927-20100929
  • [学会発表] 水溶液中におけるトレハロースとジエンの相互作用に関する計算機シミュレーション2010

    • 著者名/発表者名
      坂倉耕太,奥和之,櫻井実
    • 学会等名
      第55回低温生物工学会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2010-06-26

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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