研究概要 |
(1) タコ・ロドプシンの結晶化に適したタンパク質の精製法の開発研究を行った。 (2) 光駆動プロトンポンプの変異体(L93A)の3次元結晶を用いて、光反応に伴う構造変化を解明する研究を進めた。 (3) 好アルカリ性好塩菌(N.pharaonis)のハロロドプシン(pHR)の3次元結晶を用いて、塩素イオン非結合状態、臭素イオン結合状態、アザイド結合状態、硝酸イオン結合状態の構造決定を行った。 (4) 視物質イカロドプシンのバソ中間体およびイソ中間体の構造解析行い、光初期過程での構造変化の様子を明らかにした。 (5) Haloquadratum walsbyに存在するbR様ロドプシン2種類(bRI, bRII)を大腸菌で発現して、bRIIは通常の光駆動性ポンプであるbRと同じ性質を示す事を、分光学的に確かめた。一方、bRIの方は、非常に遅い光サイクルを示し、光反応物として11-cisを持った成分が存在する初めての古細菌型ロドプシンである事が分かり、MRと名付けた。Haloarcula marismortuiに存在する6種類の古細菌型ロドプシンの中で2種類は、これまでの4種類(bR, hR, sRI, sRII)以外のもので、xop1 xop2と名付けられた。この中で、xop1は分子系統学的にもbopに近い存在であり、遺伝子移動で生じた2種類目のbRである事が示唆された。一方、xop2は、sRI, sRIIと非常に近いが独立した進化をしている事が分かり、光サイクルも非常に遅いが、プロトン輸送活性も持つ事が分かった。 (6) 高度好塩性古細菌の分子分類法としてpyrD遺伝子がrRNAオペロンの5'上流に存在している事を発見し、PCR法で簡単に16SrRNA領域を増幅して、配列を決める事で簡単に分類が可能である事を示した。
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