研究課題
本年度の実績を下記に箇条書きする。(1)ヒストンのGLAMP解析;ヌクレオソームはふたつのヒストンH2A-H2B二量体とひとつのヒストン(H3-H4)_2四量体からなるヒストン八量体にDNAが巻き付いた構造をとる。ヌクレオソーム構造は様々なDNA介在反応中に解体されたり、再生したりする。その機構についてヒストン-ヒストン分子間、ヒストン-DNA間の相互作用の変化の総体と捉え、このような相互作用領域に存在するヒストンのアミノ酸を個々にアラニンに置換した、酵母の点突然変異株ライブラリー119株を樹立し、解析した。その結果60ページにもおよぶ学術論文として報告した(Genes Cells 14, 1271-1330, 2009)。(2)ヒストンH3-K56のアセチル化による相同組換えの制御;ヒストンH3-K56A変異株において、姉妹染色分体間の組換え(SCR)の効率が著しく低下することを見いだした。この反応にはH3-K56のアセチル化に必要とされるヒストンシャペロンCIA/Asf1とヒストンアセチル化酵素Rtt109が要求された。さらに、H3-K56のアセチル化の下流で機能するRtt101-Mms1-Mms22ユビキチンリガーゼ複合体がこのSCRに必要だった。以上より、本研究で初めてH3-K56のアセチル化で制御される相同組換えの存在が明らかにされた。(3)複製タンパク質Cdc45はヒストンに結合する;酵母の複製タンパク質Cdc45がヒストンに相互作用するを初めて明らかにした。Cdc45のヒストン結合ドメインに点変異を導入したところ、温度感受性を示す変異株を同定した。次年度に、この株の詳細な解析をする予定である。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件)
Genes Cells 14
ページ: 1271-1330
Genes Genet.System 84
ページ: 171-178
DNA Repair 8
ページ: 690-696
Biochem.Biophys.Res.Commun. 379
ページ: 233-238
Mol.Biol.Cell 20
ページ: 937-947