研究課題
本年度の実績を下記に箇条書きする。(1)ヒストンH3-K56のアセチル化による相同組換えの制御;ヒストンH3-K56A変異株において、姉妹染色分体間の組換え(SCR)の効率が著しく低下することを見いだした。この反応にはH3-K56のアセチル化に必要とされるヒストンシャペロンCIA/Asf1とヒストンアセチル化酵素Rtt109が要求された。さらに、H3-K56のアセチル化の下流で機能するRtt101-Mms1-Mms22ユビキチンリガーゼ複合体がこのSCRに必要だった。以上より、本研究で初めてH3-K56のアセチル化で制御される相同組換えの存在を明らかにし、それを報告した(Genes Cells 15,945-958,2010)。(2)ヒストンシャペロンFACTによる複製フォークの進行制御;真核細胞のDNAは、ヒストン八量体に巻き付き、ヌクレオソーム構造をとる。そのため、DNA複製の際に、ヌクレオソーム構造の解体と再構成が必要となる。本研究ではヒストンシャペロンFACTに着目し、トリDT40細胞においてFACTの条件枯渇細胞を樹立し、解析した。その結果、FACTの枯渇はDNA複製の開始反応には影響を与えなかったが、フォークの進行の指標であるDNAファイバー上への核酸の取り込み能が著しく減弱させた。これは、FACTが複製フォークの進行を担うことを示唆した最初のエビデンスと考えられる。FACT以外のヒストンシャペロンCIA/Asf1の解析も着手しており、ヒストンシャペロン群によるクロマチンレベルのフォークの制御機構の全貌を最終年度に向けて解明していきたい。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件)
Biochem.Biophys.Res.Commun.
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巻: pii : 795946(電子媒体のみで頁の表記はない。)
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