研究課題
ヌクレオソームはヒストン(H3-H4)_2四量体と2つのヒストンH2A-H2B二量体からなるヒストン八量体にDNAが巻き付いたものである。本研究では、「(1)DNA複製時の親鎖上のヒストン八量体の娘鎖への分配機構」、「(2)DNA複製と染色体分配時に共通のヌクレオソーム構造変換機構の解明とその構造変換機構の染色体分配における役割の解明」の2つの当初目標の達成を目指した。(1)では、ヒストンシャペロンFACTおよびCIA/AsflのDNA複製時の役割りについて、研究実施計画に基づいて解析した。その結果、FACTはDNA複製フォークの前方に存在する親鎖上のヌクレオソームの解体に関わる可能性が初めて示された(J.Biol.Chem.286,30504-30512, 2011)。さらに野生型CIA/Asflおよびピストン結合能を喪失したCIA/Asfll-V94R変異型をアフリカツメガエル卵抽出系を用いたクロマチン複製系で解析した。その結果、CIA/Asflが複製フォーク進行を制御しうることが初めて生化学的に立証された(Genes Cells 16, 1050-1062,2011)。(2)では、染色体分配に必要なヌクレオソーム表面の機能のひとつがSgolとの相互作用にあることを初めて示した(EMBO J.30,3353-3367,2011)。このヌクレオソーム表面を構成するアミノ酸残基の幾つか(H3-T45など)はDNA複製にも関わる。そこで、DNA複製に必要なヒストン残基群と複製フォークの進行を担うMCM複合体との関係をChlP法により調べた。その結果、ヒストンH3-T45A点変異株で、MCMのクロマチン複合量が顕著かつ特異的に増加することを見いだした。この事象を分子レベルで追求し、DNA複製時のH3-T45の役割の解明に繋げたい。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (11件)
Genes Cells
巻: 16 ページ: 1050-1062
J.Biol.Chem.
巻: 286 ページ: 30504-30512
doi:10.1074/jbc.M111.264721
EMBO J.
巻: 30 ページ: 3353-3367
doi:10.1038/emboj.2011.241
Biochem.Biophys.Res.Commun.
巻: 414 ページ: 298-303
doi:10.1016/j.bbrc.2011.09.037
Biol.Pharm.Bull.
巻: 34 ページ: 1314-1318
doi:10.1248/bpb.34.1314
巻: 410 ページ: 568-573
doi:10.1016/j.bbrc.2011.06.027
巻: 406 ページ: 649-655
10.1016/j.bbrc.2011.02.135
Biochim.Biophys.Acta
巻: 1813 ページ: 473-479
10.1016/j.bbamcr.2011.01.001
巻: 1813 ページ: 1129-1136
10.1016/j.bbamcr.2011.01.002