研究課題
細胞周期のチェックポイント機構に関わるATMならびにATRのヒト培養細胞における細胞内局在性について、それぞれの複数の抗体を用いて解析を行った。その結果、いずれも核ならびに細胞質の画分に検出されるとともに、ATRはミトコンドリア画分においても見出された。さらに、ヒトATRのGFP融合体を作成し、培養細胞に形質導入することでGFPシグナルを用いた生細胞内における局在性の解析を行った。その結果、細胞分画と同様に、核と、細胞質ならびにミトコンドリアにも、シグナルが観察されることが明らかになった。さらに、このATRの発現系において、細胞の液胞化をともなう細胞死が誘導される現象も見出した。現在、オートファジーとの関連性について調べている。また、ヒトATRと相互作用する因子を調べる目的で、免疫沈澱法により共沈する蛋白質について調べたところ、ミトコンドリア特異的な複製・転写に関わる因子TFAMと相互作用を示すことが確認された。また、ミトコンドリア障害時におけるATR遺伝子の働きに関して調べる目的で、線虫の野生型ならびにATL1(線虫ATR)の欠損変異体を用いて解析を行った。その結果、ATL1欠損では、ミトコンドリアストレスに高感受性になることが確認され、核のチェックポイント制御に関わる因子のミトコンドリアでの制御が確実なものになり、新たな知見へとつながっている。この実験系を進めることで、ミトコンドリア障害時のレトログレードシグナル伝達系の分子機構について更なる解析を次年度以降に進める。また、放射線照射による酸化ストレスや高温ストレスによる障害ならびにDNA損傷の応答について、植物や線虫ならびにヒト培養細胞を用いた解析を行い、ミトコンドリアと核との連携について、解析を引き続き展開している。さらに、線虫を用いた宇宙実験のサンプルを解析することで、宇宙環境がおよぼす影響について、特に、筋委縮とミトコンドリアとの関係についてもDNAマイクロアレイならびにプロテオーム解析を実施している。
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Plant Cell Environ
巻: 34 ページ: 284-290
Proc Natl Acad Sci U S A
巻: 107(19) ページ: 8569-74
Doi:10.1073/pnas.1000869107
http://www.ige.tohoku.ac.jp/genome/index.htm