研究課題/領域番号 |
21370078
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
内海 利男 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50143764)
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研究分担者 |
伊東 孝祐 新潟大学, 自然科学系, 助教 (20502397)
姚 閔 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 准教授 (40311518)
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キーワード | リボソーム / リボソームタンパク質 / タンパク質合成 / リボソームストーク / GTPaseセンター / 結晶構造 / タンパク質複合体 / 部位特異的アミノ酸置換 |
研究概要 |
リボソームストークタンパク質は、タンパク質合成系の動的反応を促進するリボソーム機能部位(GTPaseセンター)の主要成分であり、これまでの研究代表者らによる生化学と結晶構造解析により、古細菌ではP0タンパク質を足場にしてストークタンパク質ホモダイマー(P1)_2が3個連結したP0(P1)_2(P1)_2(P1)_2の7量体を形成しリボソーム中に存在することが明らかにされた。本年度は以下の課題に対する研究を実施し、このユニークな7量体構造の機能面の意義に関する新たな知見を得た。 A.ストークダイマーはなぜ3個も存在するか:この課題に対し、我々は7量体複合体の結晶構造データを精査し、P1ダイマーが接するP0の疎水性アミノ酸に着目した。P0上のこれらのアミノ酸をグルタミン酸に置換することで、各(P1)_2ダイマーを複合体から特異的に遊離させることに成功した。そして各種変位型複合体の機能を、大腸菌リボソームが保有する対応複合体と置換したハイブリッドリボソームを用いて解析した。その結果、各部位のダイマーは単独で翻訳因子EF-2依存のGTPase活性を示し、各(P1)_2ダイマーとも独立して翻訳因子との相互作用に関与し、3個の存在によりその効率を上げていることが推察された。 B.P1のC末端のはたらき:結晶構造によりP1のN末端がP0に結合し、C末端はフリーであることが推察される。そこでその部位の機能を、各種アミノ酸置換による機能面への効果を見ることで解析した。その結果、P1のC末端に存在する保存されたフェニルアラニン残基が翻訳因子との結合に不可欠であることが明らかにされた。 AとBの結果により古細菌リボソームのストークタンパク質複合体P0(P1)_2(P1)_2(P1)_2の7コピーのP1はそれぞれがC末端部位を介して翻訳因子と結合する能力を保有し、翻訳因子依存の反応効率を高めていることが示された。
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