研究課題
研究代表者は、正常なmRNAの分解開始の普遍的分子機構を解明した。そのなかで、G蛋白質である翻訳終結因子eRF3がその制御において中心的な役割をはたしていることを証明した。一方で、ノンストップ型mRNA分解(NSD)、リボソーム停滞型mRNA分解(NGD)という異常なmRNAを分解する品質管理が知られているが、その分子機構の詳細については不明な点が多い。本研究においては、研究代表者らが独自に解明した正常なmRNAの分解開始機構の研究成果とその過程で用いた独自の研究手法を応用することにより、いまだ解明の進んでいない異常なmRNAの分解機構(品質管理機構)を解明し、mRNA分解全般に共通する普遍的分子機構を解明することを目的としている。本年度は、本基盤研究の最終年度にあたるため、ノンストップ型mRNAの分解機構(NSD)について研究の総括をおこなった。ヒトにおいてはこれまで、NSDのメカニズムは存在しないとされてきたが、本研究においては、ノンストップ型mRNAが正常なmRNAに比べ不安定であり、積極的に分解されていることを証明した。また、NSDは翻訳に依存しておこり、翻訳終結因子eRF3ファミリーに属するHbs1とその結合パートナーであるDom34が必須な役割をはたしていることを証明した。酵母においてはエキソソーム-SKI複合体が分解に必要であるが、ヒトにおいてもエキソソームの構成因子であるDis3とSKI複合体の構成因子であるSki2/Mtr4ヘリカーゼが分解に必要であり、Hbs1-Dom34がこれらの因子と複合体を形成していることを明らかにした。以上の研究成果は、ヒトにおいてもNSDのメカニズムが存在し、ノンストップ型mRNA上で停滞したリボソームにHbs1-Dom34がエキソソーム-SKI複合体をリクルートすることでmRNAを積極的に分解していることを強く示唆している。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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