DNA複製の開始に伴い、PCNA依存的にライセンス化因子Cdt1がCul4-DDB1-Cdt2によりユビキチン化を受け分解される。これは、再複製の抑制のために大切な制御機構である。我々は、この分解機構の解析を行ない次のような結果を得た。 I. 作成したCdt2抗体を用い、ウエスタン法により細胞周期におけるCdt2タンパク質の解析を行なった。Cdt2は細胞周期を通じてほぼ一定量存在すること、S期からM期において高リン酸化状態にあるが、一方、M期の終了からG1期においては低リン酸化状態にあることを明らかにした。Cdt1が分解される時期にCdt2は高リン酸化状態に有るので、Cdt2の活性化との関連性が考えられた。 II. ヒト細胞では、PCNA結合タンパク質の中でCdt1とp21が特異的にCul4-DDB1-Cdt2のターゲットとなりS期になると分解される。分解されないDNAリガーゼIとの比較や、キメラを作製することにより、PCNAとの結合に関わるPIP-ボックス内のアミノ酸TD配列、PIP-ボックスよりC末側3番目と4番目の塩基性アミノ酸KKが、分解に必要であること、さらに、KKの次に酸性アミノ酸が来ると分解に抑制的に働くことを明らかにした。S期においてPCNA結合タンパク質の中で、分解されるものと結合により機能が促進されるものは厳密に識別されていることいえる。 III). Cdt2のN末側半分とC末側半分をベイトにして、酵母2ハイブリッドスクリーニングを行ない、Cdt2と結合する候補因子を数クローン得た。
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