研究課題
本研究の目的は、この動原体ストレッチングと命名した現象の生物学的意義を問うことであり、昨年度より、動原体ストレッチングについて、1)分子背景、2)張力(微小管が動原体を紡錘極方向に引く力)の関与、について明らかにすることに取り組んでいる。平成22年度の進捗は以下の通りある。1)分子背景について動原体に局在する分裂期キナーゼPlk1の関与について調べた。Plk1の重要性を検証するべく動原体から特異的に排除することを試みたが、既知のPlk1を動原体に局在させるメカニズムの経路を阻害してもPlk1の局在は大きく影響されることがなかったため、作業仮説の検証には至っていない。しかしながら、Polo-box domain結合阻害薬PPG処理によって明らかに消失することが手元で判明し、Plk1が動原体構成分子と直接結合することによって動原体に集積することが分かった。本来の本題にアプローチするために、先ずはPlk1を動原体に局在させるメカニズムを解明する予定とした。2)張力の関与について動原体ストレッチングが、両極から引っ張られることの無い単極性の紡錘体においても起こることから、張力の関与について検討を進めた。まず、単極性の紡錘体においてクロモキネシンKidを阻害して、染色体腕部にかかる中心から染色体を遠ざけようとする力を弱めたところ、染色体は中心に集積したが、依然としてストレッチングが観察された。このことは張力の関与について否定的であるものの、染色体どうしが集まってきていることを考慮すると張力の関与を完全には否定できなかった。この問題を乗り越えるために、染色体腕部が無いに等しい人工染色体を持つ細胞の樹立を進めている。
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