研究課題
Notchシグナルは進化上保存された細胞間シグナル伝達経路であり、多様な組織の発生に関わっていることが知られている。高等生物でのNotchシグナルの生理機能とその分子機構は、複数リガンド・受容体の存在やそれらの発現場所・時期・活性の複雑な調節機構の存在のため、不明な点が多く残されている。本研究では、Notchリガンド機能に焦点をあて、個体における生理機能を明らかにする。そのため、モデル動物として、脊椎動物であるゼブラフィッシュを用いることで、初期発生での複数のリガンドの機能解析を行った。1)Mib1-Jagged1-Notchシグナルによる脊索細胞の運命決定と脊索の機能制御脊索は脊椎動物共通の発生過程で一過性に生じる中軸構造である。本年度は、MibによるJaggedのユビキチン化を通じたJagged-Notchシグナル活性化が、液胞細胞と非液胞細胞の分化を調節し、その調節によって、脊索の周囲に存在する筋組織形成誘導に関与する事を解明した。2)Deltaによるfilopodia誘導機構とその生理機能の解明本年度は、Delta1の強制発現が、filopodiaの形成を促すメカニズム解析を行った。その結果、a)Delta1によるfilopodia形成誘導に、Notchシグナル活性化は関与しない事、b)Delta1の細胞膜直下のアミノ酸領域が重要である事、c)Deltaがゼブラフィッシュ神経細胞の移動に関与する事、などを明らかにした。3)Mibによるリガンドの活性化機構解析Mib1によるDelta1のユビキチン化修飾はNotchとの結合やバルクのDeltaのエンドサイトーシスのステップに関与せず、トランスエンドサイトーシスによって引き続き起こるNotch細胞外ドメインと結合したDelta1の細胞内輸送を制御していることが示唆された。
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