研究課題
キノコ体形成に機能する遺伝子sickieの解析sickieのmRNAはキノコ体神経細胞に分化して間もない細胞集団で発現し、Sickieは神経軸索に一過的に検出され、遺伝子欠失変異体で、キノコ体軸索束の形成が阻害される表現型が見られた。次に、Sickieはアクチン結合性のタンパクに保存されているドメインをもつことから、アクチン重合を制御する他因子との相互作用の検証を行った。線虫のSickieホモログのUnc-53と結合することが既知なアクチン制御因子としてAbiが知られていたため、ショウジョウバエabiの表現型を解析した。abi変異体では軸索束が過剰伸長することが明らかになり、sickie変異体とは逆の表現型であった。この異常はsickieとabiのヘテロ2重変異体においては抑制された。さらに、sickieの表現型はabiを同時に強制発現することで相乗的に亢進したことから、これらの因子は遺伝学的に相互作用することが示唆された。さらにアクチンの脱重合を制御する因子群との関連も示され、今後は細胞生物学的手法を用いて、より詳細な機能の解析を行う。(2)キノコ体形成に機能するPCP因子群の解析平面内細胞極性(Planar Cell Polarity:PCP)を制御する因子群がキノコ体の軸索形成に関与することを示した。さらに、キノコ体の軸索形成へのWntの関与を検討するために、Wnt遺伝子の変異体を解析し、Wnt5変異体においてキノコ体の形成異常を見いだした。Wnt5とPCP制御因子の間に遺伝学的相互作用が見られたことから、Wnt5をPCP経路のリガンドであると提唱した。Wnt5はキノコ体の樹状突起で形成されるカリックスに局在する。カリックスにおいてWnt5の発現を回復することでWnt5変異体の表現型がレスキューされたことから、カリックスに局在するWnt5がキノコ体の軸索形成に重要であることが示された。また、Wnt5変異体のクローン解析やキノコ体特異的なRNAiの誘導によるWnt5のノックダウン実験により、カリックスに局在するWnt5の少なくとも一部はキノコ体から分泌されるものであることを示した.
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