研究課題/領域番号 |
21370098
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
岡部 正隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10300716)
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研究分担者 |
三宅 力 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20529763)
斉藤 三郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (10186934)
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キーワード | Gcm / マウス / ゼブラフィッシュ / 発生 / 進化 / エンハンサー / 脊椎動物 / 塩類細胞 |
研究概要 |
マウスのGcm遺伝子の副甲状腺および腎尿細管における機能解析を行うものの、十分な結果を得ることができなかったため次年度も引き続き解析を行うこととした。前年度までに、ゼブラフィッシュの塩類細胞におけるGcm2遺伝子のエンハンサーを解析し、このエンハンサーの獲得がGcm2を発現する塩類細胞の成立に寄与した可能性を示唆したが、ゼブラフィッシュにおいてカルシウムチャネルを発現する塩類細胞はGcm2発現塩類細胞自体ではなく、隣接する細胞であることが明らかとなった。この2つの細胞はお互いに隣接して存在することから、発生学的にないしは生理学的に関連している可能性は少なくなく、この関係を明らかにすることが課題となった。ポリプテルスの外鰓発生の解析に関しては、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤Ovaprimを用いて8ペアのつがいをローテーションさせて定期的に胚を得ることで可能となり、細胞標識実験や遺伝子の発現抑制実験が可能となった。蛍光色素標識実験から、外鰓は神経胚期の頭部神経摺の後端腹側上皮から生じることがわかった.ゼブラフィッシュのGcm2遺伝子の周辺領域の塩基配列は他の四肢動物のGcm2遺伝子間よりも格段に保存性が低く、これは真骨魚における全ゲノム倍加による遺伝子の多様化が原因であると予想された。そのため全ゲノム倍加前のゲノム形態を残すと予想されるポリプテルスのGcm2遺伝子の周囲の塩基配列を明らかにすることとした。既存のポリプテルスのゲノムBACライブラリーには残念ながらGcm2周辺領域を含むクローンが存在しなかったため、新たにゲノムBACライブラリーを構築した。現在クローンの選出の準備を行っている。また国立遺伝学研究所の協力で全ゲノムショットガンシーケンシングも開始したため、これらの成果により周辺領域の配列比較が可能になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GCm1およびGCm2のコンディショナルノックアウトマウスを作成するベクターの構造変更と構築過程で予期せぬ実験トラブルが生じたことからマウスの作成が大幅に遅れた事により、マウスの解析に関しては研究計画の遅延が生じている。ポリプテルスに関しては実験に用いる胚が十分に得られなかった時期が続いたこと、これまで構築してきたゲノムリソースでは不十分であった点があげられる。
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今後の研究の推進方策 |
前述のように研究計画はやや遅れているが、継続して研究計画を実行していく。その対策としては、各実験に関する経験豊な研究者からすでに協力を得ており、必要に応じて共同研究等の形態で研究を進めていくことを考えている。ポリプテルスに関しては胚を得る方法論が確立したこと、あたらなゲノムリソースを整備が進んでいることから、今後は順調に研究が進むことが期待される。
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