フランスINSERM研究所のClemente教授との共同研究により、変異amhrIIのタイプの同定を行なった。変異amhrII cDNA全長を単離、I型受容体を発現し下流のシグナルをルシフェラーゼで検出できる細胞株に導入、精製AMHを添加することで変異タイプを同定したところ、シグナルが全く伝わらなくなることから、機能喪失変異であることが判明した。同時にこのスレオニンが活性にきわめて重要であることも明らかとなった。さらにAMH下流のSMADシグナル経路が存在するかを明らかとするため、smad発現を調べ、生殖腺体細胞に発現していることを確認した。 hotei変異遺伝子(amhrII)はin situレベルで体細胞側で発現が検出される。またそのリガンドであるamh遺伝子も同じ細胞で検出されることから、AMHシグナルはオートクライン的に体細胞で働くと予期される。しかし、その表現型は生殖細胞が過剰増殖として認められるため、生殖細胞で発現する微量の変異遺伝子が表現型を引き起こしている可能性は否定できない。そこでこのことを検定するために、野生型と変異体メダカとの間でキメラメダカを作製して解析を行なった。その結果、変異型生殖細胞が野生型生殖腺に入っても過剰増殖はしないが、野生型生殖細胞が変異体生殖腺に入ると表現型を示すことが明らかとなった。このことは、生殖細胞の増殖は、生殖細胞自律的な変異によるものではなく、体細胞の変異によって影響されることが明らかとなった。
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