研究課題
基盤研究(B)
性の可塑性を制御している分子の実体とその制御機構は明らかでなかった。今回の研究により、AMH系は生殖細胞を取り囲む支持細胞間で働き、分裂中の幹細胞系の生殖細胞の増殖を間接的に制御、この生殖細胞の増殖を通じて生殖腺の性の制御を行いうる分子であることが明らかとなった。またこのAMH系が働く「生殖細胞のゆりかご」と名付けた組織構造も本研究によって発見され、この構造体には卵巣生殖幹細胞が存在し、構造体そのものがニッチでもあることが示された。以上のような性決定分化機構はほ乳類とはメダカでは全く異なる。実際、ほ乳類での生殖腺雄化に必須の因子sox9の機能をメダカで調べると、雄化には必須ではなく生殖細胞維持に関わっていることが明らかとなった。これらの結果を総合すると、それぞれの脊椎動物は独自の性決定システムを発達させていることが分子機能の観点から明らかとなった。
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