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2010 年度 実績報告書

脊椎動物の細胞極性形成における膜・タンパク質輸送の意義

研究課題

研究課題/領域番号 21370102
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

上野 直人  基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 教授 (40221105)

キーワード細胞極性 / タンパク質輸送 / 細胞骨格 / 原腸形成 / 初期発生
研究概要

脊椎動物のさまざまな器官形成において、器官を構成する細胞の細胞極性は極めて重要な役割を果たしている。したがって、細胞に形態的・機能的偏りを付与する細胞極性形成のメカニズムを明らかにすることは、脊椎動物の形態形成メカニズムを明らかにする重要な鍵となる。中でも細胞に異方的な物質輸送に関わる膜・タンパク質輸送経路は極性形成の本質とも言え、本研究はその分子・細胞機構を明らかにするために実施された。
我々は、すでに細胞極性形成に関わる分子のスクリーニングによって膜輸送形成に関わる因子を複数同定している。それらが細胞内での非対称な輸送のカーゴ(荷)とする分子の候補として、神経管閉鎖時に頂端側に偏って分布するふたつの細胞接着分子、N-カドヘリンとネクチン2に着目し、それらの機能解析を行った。その結果、ネクチン2の頂端側への局在に伴って、N-カドヘリンが頂端側へ動員されること、ふたつの接着分子の相互作用によって、アクトミオシン系が活性化され、神経上皮細胞の頂端側が著しく収縮することなどを見出した。これらのことは細胞極性形成によって、N-カドヘリンの輸送経路が頂端側へと方向付けられた可能性を示している(Morita et al.,Development,2010)。
また、神経管閉鎖の際に微小管も重要な役割を果たしていることが明らかになった。微小管は細胞極性形成によって頂端側から基底側に成長し、細胞自体を伸長させる役割を担っている。微小管に沿うように局在するタンパク質MID1/MID2は微小管の束化、安定化によって細胞の形態的な極性を作りあげており、この細胞形態形成が神経管形成に重要であることを示した(Suzuki et al.,Development,2010)。
これら二つの研究によって、脊椎動物の膜・タンパク質輸送を基盤として形成される細胞極性が器官形成に必須であるという重要な意義を見出すことができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] N.Nectin-2 and N-cadherin interact through extracellular domains and induce apical accumulation of F-actin in apical constriction of Xenopus neural tube morphogenesis.2010

    • 著者名/発表者名
      Morita, H., Nandadasa, S., Yamamoto, T.S., Terasaka-Iioka, C., Wylie, C., Ueno, N.
    • 雑誌名

      Development

      巻: 137(8) ページ: 1315-1325

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MID1 and MID2 are required for Xenopus neural tube closure through the regulation of microtubule organization.2010

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, M., Hara, Y., Takagi, C., Yamamoto, T.S., Ueno, N.
    • 雑誌名

      Development

      巻: 137 ページ: 2329-2339

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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