研究課題/領域番号 |
21370103
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
日比 正彦 独立行政法人理化学研究所, 体軸形成研究チーム, チームリーダー (40273627)
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研究分担者 |
野嶋 秀明 独立行政法人理化学研究所, 体軸形成研究チーム, 研究員 (00392069)
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キーワード | 背側決定因子 / 微小管 / モータータンパク質 / kinesin / Balbiani体 / ゼブラフィッシュ / 母性遺伝子効果 / 背側オーガナイザー |
研究概要 |
背側オーガナイザー、は胚の背側組織を作る最も重要な役割を担っている。魚類・両生類では、受精卵植物極に存在する背側決定因子が胚背側に移動し、Wntシグナルを活性化し、背側特異的遺伝子の発現を誘導することで、背側オーガナイザーを誘導すると考えられている。我々はこれまで、背側組織の形成不全を示すゼブラフィッシュ母性遺伝子効果変異体tokkaebiを同定した。tokkaebiホモ接合体雌魚から産まれた胚は、腹側化表現型を示す。月齢が若く特定の遺伝背景を持った変異体雌魚から産まれたtokkaebi胚のほとんどは、背側組織を全く有しない状態となる。我々は、ポジショナルクローニング法によってtokkaebi遺伝子座を同定した。tokkaebi遺伝子座は、哺乳動物の神経において微小管依存性の輸送に関与することが報告されているSyntabulinをコードしていた。Syntabulinは、微小管上プラス側に物質を輸送するモーター蛋白kinesin Iと貨物を結合させるリンカー蛋白として機能していることが報告されている。syntabulin mRNAは、卵形成において、Bucky ballを介したBalbiani体依存性の経路によって、植物極に輸送される。また、植物極で作られたSyntabulinタンパク質は、微小管依存性に運ばれることが明らかとなった。以上の結果は、Syntabulinは微小管依存性の背側決定因子の輸送に関与していることを示唆している。またBucky ballを介したBalbiani体依存性経路は卵の動植物極軸形成に必須であることから、卵の動植物極性の形成が胚の背腹軸形成と関連していることが明らかとなった。
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