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2011 年度 実績報告書

Znフィンガータンパクによる外胚葉分子決定の分子機序

研究課題

研究課題/領域番号 21370104
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

笹井 芳樹  独立行政法人理化学研究所, 器官発生研究グループ, グループディレクター (20283616)

キーワードZfp521 / Zfp12 / XFDL156 / 神経分化 / 転写因子 / P300 / ES細胞 / アフリカツメガエル
研究概要

本研究では、初期胚における中枢神経系発生の最も初発段階であるが、未だに不明な点の多い「多能性細胞から未分化外胚葉を経て、神経外胚葉(神経前駆細胞)へ分化する過程」の分子制御機序の解明を目指し、その過程を制御する分化決定因子の解析を行なった。そのため、まず、多能性細胞(マウスES細胞)の試験管内分化系を用いて、神経分化のごく初期に発現しだす転写因子をシステム生物学的手法で探索し、ZnフィンガータンパクZfp521を同定した。
このZnフィンガータンパクは核内因子で、ES細胞分化系のみならず、in vivoのマウス初期胚でも神経前駆細胞に特異的な発現を示した。Zfp521の強制発現はES細胞の培養系で神経分化を強く促進し、さらに通常は神経分化が強く抑制されるBMP4存在下でも神経分化を惹起することが明らかとなった。逆に、BMP4存在下では、Zfp521の内因性の発現は強く抑制されていた。さらにshRNA法により、その機能を阻害すると、ES細胞からの神経分化が強くされたが、内胚葉や中胚葉などの他の細胞種への分化は正常に起こることがわかった。これらにより、Zfp521が未分化外胚葉から神経前駆細胞への分化を推進するのに必須の制御因子であることが明らかとなった。Zfp521が、なぜ神経外胚葉特異的な発現をするのかについては不明であったが、その上流因子の制御メカニズムに、Oct6などのepiblastで発現する転写因子群との関係が強く示唆された。また、下流候補遺伝子についても、これまでにSox3はその直接的な下流遺伝子の一つであることが明らかとなったが、その発現誘導にはp300/CBP活性が必要であった。これらにより、Zfp521は未分化外胚葉から神経前駆細胞へ分化する際に働く転写活性因子であり、神経外胚葉への初発分化段階の制御をp300などとともに行なう役割を持つことが明らかになった。さらにZfp521の機能を理解するために、Zfp521のノックアウトES細胞を作製し、遺伝子破壊マウスの産生に着手した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Mouse ES cell culture for generation of three-dimensional retinal and cortical tissues2012

    • 著者名/発表者名
      Eiraku, M., Sasai, Y.
    • 雑誌名

      Nature Protocols

      巻: 7 ページ: 69-79

    • DOI

      10.1038/nprot.2011.429

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Lonely death dance of human pluripotent stem cells : ROCKing between metastable cell states2011

    • 著者名/発表者名
      Ohgushi, M. and Sasai, Y.
    • 雑誌名

      Trends in Cell Biology

      巻: 21 ページ: 274-282

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Self-organizing optic-cup morphogenesis in three-dimensional culture2011

    • 著者名/発表者名
      Eiraku, M., Takata, N., Ishibashi, H., Kawada, M., Sakakura, E., Okuda, S., Sekiguchi, K., Adachi, T., Sasai, Y.
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 472 ページ: 503-509

    • DOI

      10.1038/nature09941

    • 査読あり
  • [学会発表] Self-organization of neural structures in 3D ES cell culture2011

    • 著者名/発表者名
      笹井芳樹
    • 学会等名
      The Cambridge Neural Stem Cell Symposium, 2011
    • 発表場所
      ケンブリッジ(イギリス)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-05

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公開日: 2013-06-26  

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