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2011 年度 実績報告書

後口動物における新規形態進化の背景にある分子進化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21370105
研究機関筑波大学

研究代表者

和田 洋  筑波大学, 生命環境系, 教授 (60303806)

キーワード神経堤 / FoxD / 進化 / ギボシムシ / 神経管
研究概要

神経堤細胞の分化に関わる転写制御ネットワークの進化について、FoxD3が制御ネットワークの一員として機能するために必要であったタンパク質の進化を特定することができた。ナメクジウオFoxDや脊椎動物のD3以外のパラローグには存在しないN末のアミノ酸配列を特定した。その領域をナメクジウオの相当配列と交換すると、脊椎動物FoxD3遺伝子も神経堤細胞を誘導する活性がなくなった。それとは逆に、ナメクジウオのFoxDのN側の配列を脊椎動物FoxD3のものと入れ替えると、神経堤細胞分化を誘導することができるようになった。以上のことからN末のアミノ酸配列の固定が、FoxD3が神経堤細胞の分化に関わるために、必要であったことが結論づけられた。現在この配列と相互作用するタンパク質について検索している。また、msx,dlx,Pax3/7などの他の神経堤細胞分化に関わる遺伝子についても、同様のアプローチで、神経堤細胞の転写制御ネットワークに関与することと関連しアットアミノ酸配列の固定が見られるか、検討している。
また、半索動物ギボシムシに神経管の起源を探る計画において、ギボシムシの襟神経索でdlx,Pax3/7が背側に限定した発現を示すことを明らかにした。さらに、口盲管ではhedgehogの発現も見られており、脊椎動物の神経管を背腹軸に沿ってパターニングする制御機構がギボシムシでも成立していた可能性を示唆する結果を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脊椎動物を特徴付ける神経堤細胞、神経管の起源について、上記で記したように新たな知見が順調に得られている。また、個々では記載しなかった棘皮動物のプルテウス幼生の進化、脊椎動物の咽頭の進化についても新たな興味深い知見が得られ始めている。

今後の研究の推進方策

後口動物の新奇特徴の進化に関連した遺伝子制御機構について、更に詳細に検討していくことで、細胞の性質の融合による新規形質の進化という概念を広くアピールする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Regeneration of amphioxus oral cirri and its skeletal rods : implications for the origin of the vertebrate skeleton2011

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Kaneto and Hiroshi Wada
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Zoology, Part B Molecular and Developmental Evolution

      巻: 316 ページ: 409-417

    • DOI

      10.1002/jez.b.21411

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of lamprey mucocartilage and its dorsal-ventral patterning by endothelin signaling, with insight into vertebrate jaw evolution2011

    • 著者名/発表者名
      Tuoya Yao, Kaoru Ohtani, Shigeru Kuratani, Hiroshi Wada
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Zoology, Part B Molecular and Developmental Evolution

      巻: 316 ページ: 339-346

    • 査読あり
  • [学会発表] Worm to Fish脊索動物のホヤ起源説を検証する2012

    • 著者名/発表者名
      和田洋
    • 学会等名
      日本動物学会関東支部大会
    • 発表場所
      習志野市
    • 年月日
      2012-03-17
  • [学会発表] Experimental evolutionary biology on the convergent evolution of the pluteus larvae2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Wada
    • 学会等名
      Sea urchin meeting XX
    • 発表場所
      Woods Hole, MA, USA
    • 年月日
      20110427-0501
  • [学会発表] Origin and evolution of novel bodyplan-lessons from marine invertebrates : molluscs and hemichordates2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Wada
    • 学会等名
      OIST seminar
    • 発表場所
      沖縄県恩納村
    • 年月日
      2011-06-01

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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