研究分担者 |
菊池 泰弘 佐賀大学, 医学部, 助教 (70325596)
大石 元治 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (40549557)
平崎 鋭矢 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70252567)
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70324605)
熊倉 博雄 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00178063)
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研究概要 |
平成21年度の研究計画に従い、左側の前・後肢を体から分離し、CT撮影を行った。それにより、骨格系の三次元データを入手した。体幹および右側の前・後肢は計画2年目に行う固有背筋と脈管神経系の詳細解剖のため10%ホルマリンで固定をした。 左側の前・後肢を体幹から分離する際、左腋窩動脈と左腕神経叢の解剖と近縁種との比較検討を行った。ボノボの腕神経叢はヒトや類人猿の形態に非常に類似していた。しかし、ボノボの腋窩動脈の走行および分岐は特異的で、ヒトでは5%以下の破格である。 分離した前・後肢については、個々の筋の同定を行い、CT撮影で得られた画像を参考にしながら、筋の起始、停止、走行を記録した。また、それぞれの筋の筋重量および筋長を計測した。分離した筋は10%ホルマリンで固定したのち筋束長を計測した。ボノボの筋形態は、他の類人猿やヒトと比較の結果、チンパンジーに酷似していた。 ボノボの後肢、特に足部について詳細な解剖を肉眼的に行い、これまでに分析したチンパンジー、ニホンザル、テナガザル、クモザルとの比較を行った。その結果、ボノボにおいては、上の4種では第3指周りに配置されている背側骨間筋が、ヒトの場合と同様に第2指周りに配置されていたことが確認できた。これは、ボノボの足の機能軸が第3指ではなく、ヒト同様に第2指にあったことを意味する。 体幹に関しては、ボノボの体幹の固定が完了していないため、他種の体幹筋構造に関する解析を実施した。特に腰方形筋に着目し、類人猿(シロテテナガザル,コモンチンパンジー,オランウータン)、新世界サル(ジェフロイクモザル)、原猿(ガーネットガラゴ)における腰方形筋の肉眼解剖学的検索を行なった、分析の結果,腰方形筋を構成する筋線維束パターンには種差があり,同筋の筋構築が種特異的なロコモーション様式を反映することが示唆された。
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