研究概要 |
・耐塩性極強の野生植物Puccinellia tenuifloraから、アスコルビン酸パーオキシダーゼ遺伝子(PutAPXおよびPutSTE遺伝子を単離し、ストレス条件下における発現解析を行った。また、酵母とシロイヌナズナに導入し、これらの遺伝子を大量に発現させる事により、酵母およびシロイヌナズナの環境ストレス耐性が向上することを明らかにした。 ・Puccinellia chinampoensisの完熟種子からカルスを誘導した。培地に加えるホルモン等の種類と濃度に関して検討を加え、カルスの培養実験系を確立した。またカルスにアグロバクテリウムを感染させる事により外来遺伝子を遺伝的に導入する形質転換法を確立した。 ・実験を遂行する過程で、シロイヌナズナの組織から簡便な化学処理により迅速にタンパク質および核酸を抽出する方法を確立した。この方法によって、シロイヌナズナを用いた生化学的な実験の効率化をはかる事が可能になった。 ・ソナレシバcDNAを網羅的に導入した1500個体のシロイヌナズナについて175mM NaCl培地で耐塩性一次スクリーニングを行ない、237個体を選抜した。次に、二次スクリーニングで22系統、三次スクリーニングで有意に耐塩性を示す5系統を選抜した。これらの個体に導入されているcDNAは、chlorophyll a/b binding protein(2系統), chloroplast protein 12, photosystem I reaction center subunit IV, MT-like proteinをコードしていた。 ・オヒルギcDNAを導入した耐塩性シロイヌナズナは酸化ストレス耐性も向上していた。 ・ヤトロファの乾燥応答性cDNAを導入したシロイヌナズナは、野生型と比較して高浸透圧培地において生育に差が認められなかった。
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