研究課題/領域番号 |
21380004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷坂 隆俊 京都大学, 農学研究科, 教授 (80026591)
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研究分担者 |
奥本 裕 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90152438)
寺石 政義 京都大学, 農学研究科, 助教 (80378819)
築山 拓司 京都大学, 農学研究科, 助教 (00423004)
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キーワード | イネ / トランスポゾン / MITE / 転移機構 / 遺伝子発現網 / ゲノム進化 |
研究概要 |
イネトランスポゾンmPingは、動植物を通じて初めて同定された転移活性を有するMITE (miniature inverted repeat transposable element)である。mPingを用いた高効率トランスポゾンタギング法の開発には、mPingの転移・増幅機構を明らかにする必要がある。本年度は、まず、mPingの挿入特性を明らかにするために、銀坊主24個体のゲノムDNAを用いたvectorette PCR法によってmPing隣接配列を増幅し、454高速シークエンサーに供試した。その結果、1664箇所のmPing挿入を同定するとともに、mPingは、遺伝子内部には非常に少ないのに対して、遺伝子上流1kbの領域には高い頻度で挿入していることが明らかとなった。次に、mPing挿入が近傍遺伝子の発現におよぼす影響を明らかにするために、日本晴および銀坊主の葉身から抽出したRNAを用いてマイクロアレイを行い、銀坊主において内部もしくは近傍にmPing挿入をもつ遺伝子の発現量を調査した。その結果、内部にmPing挿入をもつ遺伝子の転写が大きく減少する傾向にあったのに対して、遺伝子上流にmPing挿入をもつ遺伝子の転写量は増加する傾向がみられた。mPing配列内部には、26のストレス応答性cis配列を含む96のモチーフが存在することから、日本晴および銀坊主にストレス処理(低温、塩および乾燥)を行い、銀坊主において転写開始点より上流55bp以内にmPing挿入をもつ10遺伝子のストレス応答発現を定量PCRによって調査した。その結果、7遺伝子において、銀坊主でのみ低温および塩ストレスによって発現量の増加がみられた。これらのことは、mPingは、その挿入によって近傍遺伝子の発現に正もしくは中立な効果を付与することで、宿主ゲノム内で大量に増殖できることを示唆している。
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