研究課題
申請者らは、これまでに、mPingが今なお活発に転移している銀坊主とmPing転移が抑制されている日本晴の交雑によって得られた組換え自殖系統(GN-RILs)103系統を用いて、mPing転移を制御する5つの新規QTLを同定した。しかし、これらのうち寄与率の高いQTLは、mPing転移を制御する自律性因子Pingの近傍に検出されたことから、Ping以外の遺伝要因を同定するためには、供試する系統数を増やす必要があると考えられた。本年度は、まず、GN-RILs133系統を供試し、再度QTL解析を行った。その結果、寄与率の高い(46.7%)新規QTL、qTmP3 (QTL for Transposition of mPing-3)が第4染色体上に検出された。qTmP3近傍領域にPingは座乗しないことから、qTmP3はmPing転移機構の解明に極めて有用な遺伝要因であると考えられた。次いで、銀坊主においてmPingが転移する時機を明らかにするために、個体発生過程におけるmPingの転移およびPingの発現を解析した。同一親個体に由来する自殖後代の胚乳、種子根、および第1-5葉からDNAを抽出し、トランスポゾンディスプレイ法を用いて各組織におけるmPingの新規挿入を調査した結果、胚乳特異的な挿入および種子根と地上部に共通した挿入はほとんど得られなかった。このことから、mPingは、生殖細胞ではほとんど転移せず、茎頂分裂組織と根端分裂組織が分化した直後の胚細胞で最も活発に転移していることが明らかになった。また、受精後の雌蕊におけるPingの経時的発現を調査したところ、Pingの発現は、銀坊主においてのみ、受精後3日に顕著に上昇することが明らかになった。これらのことから、受精胚におけるPingの時期・組織特異的な活性化がmPing転移を制御する大きな要因であると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Mol. Plant
DOI:10.1093/mp/sst042
作物研究
巻: 57 ページ: 39-42