パンコムギの直接の祖先野生種で豊富な自然変異を集団中に有するタルホコムギのもつ遺伝子をパンコムギ育種に導入する際に、雑種致死や雑種弱勢が二粒系コムギ(AABB ゲノム)とタルホコムギ(DD ゲノム)の特定の交配組み合わせで起こる。このような二粒系コムギとタルホコムギの種間雑種で見られる生育異常のうち、ネクローシスやクロロシス、生長の停止という4つのタイプについては発生の分子機構をマイクロアレイ解析や電子顕微鏡による細胞の微細観察等によって明らかにした。さらに、これらの生育異常に関与するタルホコムギ側の原因遺伝子について、連鎖地図上に位置づけた。2系統のタルホコムギの葉のRNA-seq 解析から大量の D ゲノムの SNP マーカーを見出し、これを利用して生育不良の D ゲノム側の原因遺伝子に密に連鎖したマーカーを開発した。
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