研究課題
登熟期の葉老化抑制はソース増大に繋がることでイネ収量性の向上に結びつくと考えられる。一方、葉老化は窒素源の転流に重要であることから、光合成産物を生産した後は速やかに老化が進むことが求められる。本研究は葉老化遅延(stay-green)突然変異の責任遺伝子の単離・機能解析等により葉の老化メカニズム解析およびその制御を目指すものである。本年度はイネstay-green突然変異体のうちのひとつ、dsn2のマッピングを行った。京都大学より分譲を受けたジャポニカ品種銀坊主とのF2、50個体を圃場にて栽培した。秋の収穫期に葉の老化遅延が見られる系統を9個体選抜し、銀坊主-日本晴間で使用可能なSCARマーカーを利用しマッピングを試みた。その結果、第8染色体上にマッピングされることが明らかになった。さらに高精度マッピングを行うため、第8染色体がカサラースに置き換えられているコシヒカリ-カサラースの染色体部分置換系統との交配を行っている。また他のstay-green突然変異体nyc4についても解析を進めている。nyc4突然変異体は第3染色体と第7染色体との間で相互転座を起こしている可能性を考えている。種子稔性の低さなどから相互転座による突然変異体の原因遺伝子の単離を高精度マッピングにより単離することは困難である可能性を考え、マイクロアレイによる発現解析により候補遺伝子の同定を試みたところ、第7染色体上にnyc4において極めて発現量が低下している遺伝子を同定した。これを候補遺伝子と考え、解析を進めている。
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BMC Plant Biol.
巻: 11 ページ: 10-24
http://home.hiroshima-u.ac.jp/bio/SHOKUI/index.html