研究課題
・プロラミンmRNAの特定小胞体への局在の関与が期待されるタンパク質のうちTudor-SNについてTILLING法によって同遺伝子中に終止コドンを形成した系統とdomain内にアミノ酸置換を有した系統の種子の貯蔵タンパク質の細胞内局在性を解析した。その結果、野生型ではPB-Iの中心部に集積する10kDaプロラミンと周辺部に集積する13kDaプロラミンが、両変異では共にPB-I内に均一に分布していた。両変異のPB-IIは歪な形状を示していた。両変異で見られた表現型はTudor-SN遺伝子の変異によると考えられる。・プロラミンmRNAの特定小胞体への局在の関与が期待されるタンパク質のうち、RBP-Aでは5系統のSNPを選抜し、すべてアミノ酸置換が認められた。RBP-Kでは7系統においてSNPを示し、4系統においてアミノ酸置換が認められ、その内の1系統では終止コドンの形成が認められた。・TILLING法で選抜したPDIL2;3のアミノ酸置換変異系統18S29(A360T)ではPB-Iでプロラミンの集積異常が観察される(22年度報告)。そこでA360Tの変異を含むPDIL2;3とGFPとの融合蛋白質遺伝子を作製し、形質転換イネを作出した。登熟種子細胞での融合蛋白質の局在を観察したところ、野生型PDIL2;3とGFPの融合蛋白質は主にPB-Iの表面に局在するのに対し、変異体の融合蛋白質は小胞体の内腔に局在した。・small GTPase Rab5aの変異体glup4ではβグルカンがPMBに蓄積する。野生型と変異体の完熟種子に含まれるβグルカンを定量し比較したところ、glup4変異体は野生型の約2倍のβグルカンの蓄積が認められた。
2: おおむね順調に進展している
(1)小胞体内におけるプロラミンの集積状況を明らかにした。(2)プロラミンmRNAの特定小胞体への局在化に関する候補因子について、多くの突然変異体を獲得し、解析を進めている。更なる解析によりこれら因子の機能が明らかになると考えられる。(3)プロラミンの小胞体内への集積に関与する候補因子PDIの変異体を獲得し、この解析を進めている。更なる解析により、PDIがプロラミン集積に対する機能が明らかになることが期待される。(4)
プロラミンに関する変異遺伝子の高密度連鎖地図構築のために、次世代シークエンサーを用いた解析を開始する。本解析を新たに導入することにより、当初研究計画における目標を上回る成果が期待される。
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