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2012 年度 実績報告書

イネプロラミンの翻訳及び小胞体内への集積機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21380008
研究機関九州大学

研究代表者

熊丸 敏博  九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00284555)

研究分担者 川越 靖  独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域, 主任研究員 (50355757)
研究期間 (年度) 2009-04-01 – 2014-03-31
キーワード貯蔵タンパク質 / 小胞体 / 分子シャペロン / 突然変異 / イネ
研究概要

① プロラミンmRNAの特定小胞体への局在に関与するたんぱく質の機能解析(熊丸、福田)プロラミンmRNAの特定小胞体への局在の関与が期待されるタンパク質Tuder-SN、RBP-P、RBP-Iに関して、それぞれ34系統、3系統、16系統について各変異ホモ個体を獲得した。
② イネプロラミン分子の翻訳時における合成制御機構の解明(小川、福田) ルシフェラーゼ遺伝子の終止コドンをTAA、TTG、TGAに置換した3種類の遺伝子コンストラクトを用いて、野生型品種及びesp1/eRF1変異体をそれぞれ形質転換した。これまでに、葉におけるルシフェラーゼ遺伝子の発現をリアルタイムPCRによって解析した結果、終止コドンTAAとTGAを有するルシフェラーゼによって形質転換したesp1変異体では、野生型形質転換体に比べ発現量がそれぞれ10%と60%まで減少した。一方、終止コドンがTGAのルシフェラーゼ遺伝子では発現量が野生型の95%とほとんど差は認められなかった。
③ CysRプロラミンの集積におけるPDI2-3の機能解明 (川越) GFP-PDIL2-3融合蛋白質を発現する組換えイネの登熟種子を材料にして、抗GFP抗体を用いた免疫沈降実験でシャペロン蛋白質のBiPが共沈することを明らかにした。PDIL2-3とBiPは小胞体内腔で共にPB-Iの表面に局在することから、両蛋白質の複合体形成がPB-I形成に関与することが示唆された。
④ esp3遺伝子の連鎖地図構築(熊丸) esp3変異の原因遺伝子の同定のために、esp3変異体と野生型との交雑F2個体を栽培し、esp3遺伝子をホモに持つ個体を選抜した。esp3個体別の葉よりDNAを抽出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①プロラミンmRNAの特定小胞体への局在に関与するたんぱく質の機能解析. プロラミンmRNAの特定小胞体への局在の関与が期待されるタンパク質について、突然変異遺伝子の固定化を進めることができた。これら変異体の解析が期待される。
②イネプロラミン分子の翻訳時における合成制御機構の解明. 終止コドンを変換したルシフェラーゼ遺伝子の形質転換体を作出し、一部の組み換え体の葉において発現解析を行うことができた。今後、登熟種子を用いた解析が可能となることが期待される。
③CysRプロラミンの集積におけるPDI2-3の機能解明. これまで、PB-Iの形成にPDI2-3の関与を示す報告はないことから、新規の知見が得られた。
④esp3遺伝子の連鎖地図構築. esp3遺伝子をホモ個体よりDNAを得ることができたことから、今後の次世代シークエンサーによる解析が可能となった。

今後の研究の推進方策

①プロラミンmRNAの特定小胞体への局在に関与するたんぱく質の機能解析. 得られた変異体について、貯蔵タンパク質組成、共焦点レーザー顕微鏡、電子顕微鏡によってプロテインボディを解析する。
②イネプロラミン分子の翻訳時における合成制御機構の解明. 得られた組み換え体について、葉及び登熟種子におけるルシフェラーゼ遺伝子の発現と同タンパク質の活性を解析する。
③CysRプロラミンの集積におけるPDI2-3の機能解明. PDIL2-3のA360を含むチオレドキシン(Trx)ドメインのX線結晶構造解析によって野生型とA360T変異型を比較し、蛋白質立体構造と機能の相関を解析する。さらに、野生型又はA360T変異型蛋白質とGFPの融合蛋白質を発現する登熟種子を材料にして、抗GFP抗体を用いた免疫沈降実験を行い、共沈する蛋白質を比較解析する。
④esp3遺伝子の連鎖地図構築. 各個体のDNAを等量ずつ混合し(バルクDNA)、野生型DNAとバルクDNAを次世代シークエンサーにより全塩基配列を解析し、得られたSNPを用いてesp3遺伝子の連鎖地図を構築する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A guanine nucleotide exchange factor for Rab5 proteins is essential for intracellular transport of the proglutelin from the Golgi apparatus to the protein storage vacuole in rice endosperm2013

    • 著者名/発表者名
      Fukuda M., Wen L., Satoh-Cruz M., Kawagoe Y., Nagamura Y., Okita T. W., Washida H., Sugino A., Ishino S., Ishino Y., Ogawa M., Sunada M., Ueda T., Kumamaru T.
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 162(2) ページ: 663-674

    • DOI

      10.1104/pp.113.217869

    • 査読あり
  • [学会発表] イネ種子におけるグルテリンの細胞内輸送に関与する GLUP7遺伝子の連鎖地図の構築2013

    • 著者名/発表者名
      北原真衣, 田代 康介,熊丸 敏博
    • 学会等名
      日本育種学会第123回講演会
    • 発表場所
      東京農業大学(東京)
    • 年月日
      20130327-20130328
  • [学会発表] タンパク質の翻訳における終止コドン認識に関するイネESP1/eRF1 の機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      山城憲子, 牛島 智一, 熊丸 敏博
    • 学会等名
      日本育種学会第123回講演会
    • 発表場所
      東京農業大学(東京)
    • 年月日
      20130327-20130328
  • [学会発表] 多様な高品質イネバイオリソースの整備に向けて2012

    • 著者名/発表者名
      熊丸敏博, 安井秀, 吉村淳
    • 学会等名
      日本遺伝学第84回大会「NBRPワークショップ: 九州ブランドのバイオリソース」
    • 発表場所
      九州大学(福岡)
    • 年月日
      20120924-20120926
  • [学会発表] GLUP6/GEF is the activator for GLUP4/Rab5a, and involved in intracellular transporting of proglutelin from Golgi to protein storage vacuole in rice endosperm2012

    • 著者名/発表者名
      FukudaM., L. Wen, M. Satoh-Cruz, Y. Kawagoe, T. W. Okita, M. Ogawa, M. Sunada, T. Ueda, T. Kumamaru
    • 学会等名
      Plant Biology 2012
    • 発表場所
      Austin, USA
    • 年月日
      20120719-20120721
  • [学会発表] Identification of mutants for factors required for the ER-localization of prolamin-mRNAs in rice by TILLING method2012

    • 著者名/発表者名
      Kumamaru T., Taniguchi K., Fujimoto W., Okita, T. W.
    • 学会等名
      Plant Biology 2012
    • 発表場所
      Austin, USA
    • 年月日
      20120719-20120721
  • [学会発表] イネ種子貯蔵タンパク質グルテリンのゴルジ体から貯蔵型液胞への細胞内輸送機構の解明2012

    • 著者名/発表者名
      福田真子, Thomas W. Okita, 熊丸敏博
    • 学会等名
      イネ遺伝学・分子生物学ワークショップ
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      20120706-20120707
  • [学会発表] Construction of MNU-induced mutant pools and high performance TILLING system for detection of SNPs in rice2012

    • 著者名/発表者名
      Kumamaru T.
    • 学会等名
      BIT’s 3rd Annual World, World DNA and Genome Day
    • 発表場所
      西安, 中国
    • 年月日
      20120425-20120427
    • 招待講演
  • [学会発表] The small GTPase Rab5a is essential for intracellular transport of glutelin precursor from Golgi apparatus and endosomal membrane organization in developing rice endosperm.2012

    • 著者名/発表者名
      Fukuda M., L. Wen, M. Satoh-Cruz, T. W. Okita, Y. Kawagoe, M. Ogawa, T. Kumamaru
    • 学会等名
      BIT’s 3rd Annual World, World DNA and Genome Day
    • 発表場所
      西安, 中国
    • 年月日
      20120425-20120427
  • [学会発表] イネ胚乳におけるProtein Disulfide Isomerase Like (PDIL) 2-3に関する変異体の選抜と解析2012

    • 著者名/発表者名
      豊澤佳子, 井上佳美, Thomas W. Okita, 熊丸敏博
    • 学会等名
      イネ遺伝学・分子生物学ワークショップ
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      2012-07-06
  • [学会発表] イネ胚乳におけるProtein Disulfide Isomerase Like (PDIL)2-3に関する変異体の選抜と解析

    • 著者名/発表者名
      豊澤佳子, 井上佳美, 吉川尚樹, 小川雅広, 熊丸敏博
    • 学会等名
      日本育種学会第7回九州育種談話会
    • 発表場所
      九州沖縄農業研究センター(筑後)
  • [学会発表] イネ胚乳においてGLUP6/GEFはGLUP4/Rab5aの活性化因子であり、グルテリン前駆体のゴルジ体から貯蔵型液胞への輸送に関与している

    • 著者名/発表者名
      福田真子, 文柳瓔, 佐藤-Cruz美緒, T.W. Okita, 川越靖, 小川雅広, 砂田麻里子, 上田貴志, 熊丸敏博
    • 学会等名
      日本育種学会第7回九州育種談話会
    • 発表場所
      九州沖縄農業研究センター(筑後)
  • [図書] RNA Binding Proteins2012

    • 著者名/発表者名
      Doroshenk K. A.., A. J. Crofts, H. Washida, M. Satoh-Cruz, N. Crofts, Y. Yang, R. T. Morris, T. W. Okita, M. Fukuda, T. Kumamaru, H. Satoh
    • 総ページ数
      18
    • 出版者
      Landes Bioscience

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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