研究課題
① プロラミンmRNAの特定小胞体への局在に関与するたんぱく質の機能解析(熊丸、福田)プロラミンmRNAの特定小胞体への局在の関与が期待されるタンパク質Tuder-SN、RBP-P、RBP-Iに関して、それぞれ34系統、3系統、16系統について各変異ホモ個体を獲得した。② イネプロラミン分子の翻訳時における合成制御機構の解明(小川、福田) ルシフェラーゼ遺伝子の終止コドンをTAA、TTG、TGAに置換した3種類の遺伝子コンストラクトを用いて、野生型品種及びesp1/eRF1変異体をそれぞれ形質転換した。これまでに、葉におけるルシフェラーゼ遺伝子の発現をリアルタイムPCRによって解析した結果、終止コドンTAAとTGAを有するルシフェラーゼによって形質転換したesp1変異体では、野生型形質転換体に比べ発現量がそれぞれ10%と60%まで減少した。一方、終止コドンがTGAのルシフェラーゼ遺伝子では発現量が野生型の95%とほとんど差は認められなかった。③ CysRプロラミンの集積におけるPDI2-3の機能解明 (川越) GFP-PDIL2-3融合蛋白質を発現する組換えイネの登熟種子を材料にして、抗GFP抗体を用いた免疫沈降実験でシャペロン蛋白質のBiPが共沈することを明らかにした。PDIL2-3とBiPは小胞体内腔で共にPB-Iの表面に局在することから、両蛋白質の複合体形成がPB-I形成に関与することが示唆された。④ esp3遺伝子の連鎖地図構築(熊丸) esp3変異の原因遺伝子の同定のために、esp3変異体と野生型との交雑F2個体を栽培し、esp3遺伝子をホモに持つ個体を選抜した。esp3個体別の葉よりDNAを抽出した。
2: おおむね順調に進展している
①プロラミンmRNAの特定小胞体への局在に関与するたんぱく質の機能解析. プロラミンmRNAの特定小胞体への局在の関与が期待されるタンパク質について、突然変異遺伝子の固定化を進めることができた。これら変異体の解析が期待される。②イネプロラミン分子の翻訳時における合成制御機構の解明. 終止コドンを変換したルシフェラーゼ遺伝子の形質転換体を作出し、一部の組み換え体の葉において発現解析を行うことができた。今後、登熟種子を用いた解析が可能となることが期待される。③CysRプロラミンの集積におけるPDI2-3の機能解明. これまで、PB-Iの形成にPDI2-3の関与を示す報告はないことから、新規の知見が得られた。④esp3遺伝子の連鎖地図構築. esp3遺伝子をホモ個体よりDNAを得ることができたことから、今後の次世代シークエンサーによる解析が可能となった。
①プロラミンmRNAの特定小胞体への局在に関与するたんぱく質の機能解析. 得られた変異体について、貯蔵タンパク質組成、共焦点レーザー顕微鏡、電子顕微鏡によってプロテインボディを解析する。②イネプロラミン分子の翻訳時における合成制御機構の解明. 得られた組み換え体について、葉及び登熟種子におけるルシフェラーゼ遺伝子の発現と同タンパク質の活性を解析する。③CysRプロラミンの集積におけるPDI2-3の機能解明. PDIL2-3のA360を含むチオレドキシン(Trx)ドメインのX線結晶構造解析によって野生型とA360T変異型を比較し、蛋白質立体構造と機能の相関を解析する。さらに、野生型又はA360T変異型蛋白質とGFPの融合蛋白質を発現する登熟種子を材料にして、抗GFP抗体を用いた免疫沈降実験を行い、共沈する蛋白質を比較解析する。④esp3遺伝子の連鎖地図構築. 各個体のDNAを等量ずつ混合し(バルクDNA)、野生型DNAとバルクDNAを次世代シークエンサーにより全塩基配列を解析し、得られたSNPを用いてesp3遺伝子の連鎖地図を構築する。
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Plant Physiology
巻: 162(2) ページ: 663-674
10.1104/pp.113.217869