研究課題/領域番号 |
21380013
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
大川 泰一郎 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (80213643)
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研究分担者 |
平沢 正 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (30015119)
横山 正 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70313286)
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キーワード | 水稲 / 強稈性 / 準同質遺伝子系統 / 倒伏抵抗性 / 太稈 / 強稈質 / リグニン / 細胞分裂 |
研究概要 |
水稲の強稈性に関する遺伝子座の生理機能を明らかにするため、準同質遺伝子系統(NIL)を用いて、強稈に関わる要因を太稈性と強稈質性の2つに分け、太稈性では、太稈遺伝子座の染色体領域をもつNILを用いて太稈の形態的特性、形態形成特性を解析し、太稈遺伝子座の生理機能とその関連遺伝子を検討した。強稈質性では、強稈質と密接に関係する細胞壁成分、とくにリグニンに着目し、強稈質遺伝子座の染色体領域をもつNILを用いて、稈の形成過程のリグニンの蓄積、リグニン合成酵素活性および遺伝子発現量の解析を行い、強稈質遺伝子座の生理機構と関連遺伝子を検討した。太稈品種ハバタキの6染色体長腕の断片をもつNILを用いて、太稈に関係する稈の組織、細胞の大きさ、細胞数、成長点での細胞分裂をコシヒカリと比較した結果、この遺伝子座は稈壁の厚さではなく、主に稈の外径を大きくすることに関係し、細胞の大きさではなく細胞数が多く、細胞分裂が盛んに行われることにより稈が太くなることがわかった。強稈質に関係する曲げ応力の遺伝子座は第2染色体短腕に座乗し、中国117号型で曲げ応力が低下するので、この染色体領域を有するNILを用いて、稈の形態形成過程のリグニン蓄積過程におけるリグニン合成酵素の活性、遺伝子発現の変化をNILとコシヒカリの間で比較した結果、NILはコシヒカリに比べてリグニン含有率が小さく、リグニン合成酵素シナミルアルコールデヒドロゲザーゼ活性が小さいことがわかった。さらにこれらの太稈、強稈質に関わる遺伝子の生理機能を解明することにより、高収量・高バイオマス水稲品種の開発に不可欠な強稈性の効率的な付与が可能となる。
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