研究課題
基盤研究(B)
倒伏抵抗性は、収量およびバイオマス生産量の高い品種の備えるべき最も重要な農業形質である。倒伏抵抗性に関わる強稈性関連形質の量的形質遺伝子座(QTL)を特定するため、コシヒカリと倒伏抵抗性の大きい品種との戻し交雑自殖系統群(BILs)、染色体断片置換系統(CSSLs)を用いて解析を行った。その結果、強稈性を高める効果のある2つの主要なQTLを特定し、第6染色体のQTLをSTRONG CULM2(SCM2)、第3染色体のQTLをSTRONG CULM3(SCM3)と名付けた。SCM2の原因遺伝子を単離するため、ファインマッピングおよびポジショナルクローニングを行った結果、茎頂分裂組織の細胞増殖に関与し、収量増加に関わる頴花数の増加とともに稈を太くする多面発現性遺伝子APO1を単離した。SCM2はAPO1の機能獲得型の自然変異であり、過剰発現人為突然変異体のような穂数減少、穂の形態異常など収量に対する負の影響はなく、多収、倒伏抵抗性品種の改良に有用なアリルであることがわかった。本研究のようなQTL解析とポシショナルクローニングを結合したアプローチは、今後の倒伏抵抗性の高い多収品種を改良する上で有益なアプローチであることが明らかとなった。
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