研究概要 |
根粒菌接種後の根粒数が多く,窒素固定活性が高いミヤコグサのenf1変異体について,原因遺伝子の同定のために,変異体とミヤコグサGifu B129とを交配したF2世代を用いて,かずさDNA研究所が開発したSSRマーカーを利用し,ポジショナルクローニングを継続しておこなった.また乾燥,低温,塩の各種ストレスに対する応答試験をおこない,enf1変異体は野性型ミヤコグサMG20と比較して乾燥に対してはやや弱いが,塩や低温に対しては,MG20と同様の耐性を示すことを明らかにした. 次に同様の方法論を用いて選抜したダイズ変異体(バックグラウンドはダイズ品種Bay)について,今年度は2008年に収穫した種子を用いて人工気象器を用いた根粒着生試験と,圃場での収量試験をおこなった.その結果,変異体のバックグラウンド品種のBayと比較して有意に窒素固定活性が高いものが存在した.それらの種子を用いた圃場試験では,すべてが高い収量を示したというわけではなかったが,いくつかの系統では,種子数や種子重に関して有意にBayよりも高い値を示していた.また,今年度は種子登熟期における各系統の窒素固定活性も測定したが,途中で強い乾燥ストレスがかかってしまい,ばらつきの小さなデータを得ることができなかった.次年度は,それらについて人工気象器での根粒着生試験,ポットを用いた種子登熟期の窒素固定活性測定ならびに圃場試験等を反復して,しかも多くの個体を処理して精度の高いデータを収集しなければならない.
|