研究概要 |
窒素固定活性が強化されているミヤコグサ変異体enf1について,引き続き原因遺伝子の同定を行った.今年度は昨年までと少し戦略を変更して次世代ゲノムシーケンサーを用いて,enf1変異体の全ゲノム塩基配列を決定した.しかしながら全ゲノム中に数十万カ所の変異が見いだされ,それらのうちのどの変異がenf1の表現型の原因となっているかを確認できなかった.そこで,enf1変異体とバックグラウンドのミヤコグサMG20を戻し交配して,そのF2世代の中で,表現型が野性型に戻ったものについても全ゲノムの塩基配列を決定した.そして後者の変異箇所をenf1の変異箇所から引くことで,enf1の原因遺伝子候補を絞り込んだ.これに加えて,昨年度までのマッピングの情報やenf1変異体とMG20を比較したマイクロアレイのデータを総合的に判断して,原因遺伝子候補を4つにまで絞り込んだ.現在それらについて相補実験を行っているところである 次に同様の方法論を用いて選抜したダイズ変異体(バックグラウンドはダイズ品種Bay)について,今年度は2009年に収穫した種子を用いて人工気象器を用いた根粒着生試験と,圃場での収量試験をおこなった.その結果,変異体のバックグラウンド品種のBayと比較して有意に窒素固定活性が高く,且つ,それらの種子を用いた圃場試験においてもBayと比較して高収量を示す変異系統を4つにまで絞り込んだ.また,こういった表現型の遺伝様式を調べるために,オリジナル品種のBayとの戻し交配を開始した
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