| 研究概要 |
ゲノムプロジェクトが進展し、園芸作物においてもゲノム関連情報が充実しつつある。また、種々の園芸学上有用な生理学的知見も分子レベルでの解釈が進んでいる。しかし、これらの研究の成果の園芸生産への貢献度は必ずしも高くないと考えられる。その理由の1つとして、遺伝子の機能を証明するファンクショナルゲノミクスの手法が、多様な種を含む園芸学において確立していないことが上げられる。そこで本研究では、多様な種を含む園芸作物におけるウイルス誘導性ジーンサイレンシング(VIGS)の汎用化によって、ファンクショナルゲノミクスを推進し、充実しつつあるゲノム関連情報や分子レベルでの生理学的情報の有効活用を図ることを目的とした。本年度も引き続き、いくつかの科に属する主要園芸作物において、CMVベクターの利用の可否を調べて汎用性の検証を行うことを中心として研究を進めた。対象遺伝子はマーカー遺伝子として実績のあるフィトエン不飽和化酵素を用い、接種は傷接種法(CMV)によって行った。さらに、フィトエン不飽和化酵素のかわりに緑色蛍光タンパク質遺伝子を組込んだベクターを利用して比較対象とすることができた。また、サイレンシングの対象とする有用遺伝子の検討も行った。サイレンシング対象遺伝子として、園芸学的に有用な果菜や果樹の果実形成に関わるオーキシン輸送遺伝子や日長に反応して花芽形成の制御を行なう花成関連遺伝子の解析を行い,知見を得ることができた。
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