研究課題/領域番号 |
21380020
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
井上 栄一 茨城大学, 農学部, 准教授 (90292482)
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研究分担者 |
安西 弘行 茨城大学, 遺伝子実験施設, 教授 (20323214)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | クリ / ゲノム / SSR / QTL解析 / 連鎖地図 / 種間雑種 / 花成遺伝子 / 堅果形質 |
研究概要 |
本研究ではクリにおけるゲノムレベルの基礎的知見の獲得とゲノム研究基盤の整備を目指している.これまでにニホングリとモーパングリの種間雑種の遺伝学的連鎖地図を構築し,諸形質のQTLを検出した.本年度は以下の3課題を行った. (1) 種間雑種において,果肉糖度や渋皮剥皮性等の堅果形質についても調査を開始した.その結果,堅果の収穫期間は両親と比較して晩生側に変異が大きく,収穫中央日が遅れた.毬果あたり堅果数には大きな変異がみられなかった.堅果重はモーパングリに近い値を示したが,それ以外の堅果形質ではいずれも両親の中間的な値を示した.また,いずれの果実形質においても変動係数が両親よりも顕著に高かったことから,種間雑種では各堅果形質値が両親の中間域で分離していることが明らかとなった.さらに,堅果形質を全個体間で比較すると,その変異は量的形質に特徴的な連続的な分布を示した.これらを踏まえて来年度の結果も加えて堅果形質のQTL解析を行う予定である. (2) 既報のヨーロッパグリ連鎖地図に座乗するSSRマーカーの遺伝を本研究の種間雑種集団で評価した.その結果,20座のSSRマーカーのうち15座で明瞭な対立遺伝子が確認された.そのうち2座では多型が無かった.また,2座はマルチローカスと推察された.残りの11座については,2座がヌル対立遺伝子を持つものの,いずれも明瞭な1遺伝子座の分離を示した.したがって,これらを用いることで,既報のヨーロッパグリにおけるQTL解析の結果を本研究の考察に反映することが可能となった. (3) 花成関連遺伝子については,昨年度のAP1様遺伝子に加えてFT様遺伝子および14-3-3遺伝子の部分配列をクローニングした.さらに,各遺伝子について,開花特性の異なる親種間における発現解析を行ったところ,いずれも開花への関与が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までと同様に,本研究の結果,クリにおけるゲノム研究基盤が,計画通り着実に整ってきている.
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今後の研究の推進方策 |
詳細は次年度の計画に示すが,クリにおけるゲノム研究基盤の整備をさらにスピードアップするため,高速シーケンサーでのゲノム解析手法を取り入れて効率化を図っていく予定である.さらに,昨年度および本年度に採択されなかったゲノム支援(科研費公募課題)にも引続き応募していく予定である.さらに,最終年度であることを踏まえて,次なる課題への方向付けがなされるようなとりまとめを行う予定である.
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