研究課題/領域番号 |
21380021
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
丸尾 達 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (20143266)
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研究分担者 |
篠原 温 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (30015903)
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キーワード | 施設栽培 / 養液栽培 / トマト / 高収量 / 低段密植栽培 / 補光 / 13CO2 / 有効積算温度 |
研究概要 |
平成21年度補正予算で、農林水産省ならびに経済産業省から緊急的かつ重点的に予算配分された植物工場推進事業とも密接な関わり合いがある本研究課題は、トマトの収量を欧米並みの50ton/10aの超高収量に引き上げることが可能な、栽培プラットホームを確立することである。これまでの研究結果から、低段密植栽培システムのうち1段または3段密植栽培において超高収量実現の可能性が高いことが明らかになってきており、これらシステムの開発・評価を行っている。 本年度は移動式ベンチシステムを前提とした1段密植栽培において高収量を実現する栽培法について開発・評価を行った。また、1段および3段密植栽培において環境要因と高収量との関係について解析した。 1段栽培システムでは、9cmのポリポットにRW粒状綿を充填し、培養液を点滴灌液する栽培システムで、14,300株/10aの密植栽培を行った。栽培期間中に白色蛍光灯、赤、青および白色LEDによる補光を行ったところ、白色蛍光灯で42ton/10aの高収量を達成した。また、13CO2をトマト葉に固定させて果実への転流量を調査したところ、果房よりも下位の葉の転流量が少なかった。これは密植による相互遮蔽が原因と考えられ、転流量の減少した葉に補光を行うことで更なる収量増が見込まれる。 一方、次期作の播種日を正確に予測することは作付け回数と収量の増加に繋がることから、開花日、収穫開始日、収穫終了日を予測するために、定植後の生育と環境要因の関係を解析した。その結果、昼夜温の有効積算温度帯を用いることで、従来よりも生育予測の精度を高められることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移動式1段密植栽培システムに補光を行うことで42ton/10aの高収量を得ることが出来ている。目標の50ton/10aにはまだ到達できていないが、生育予測の精度を高めることで作付け回数の増加が見込まれ、次年度での目標到達が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
有効積算温度に基づく高度な生育予測の有効性を実証し、目標の50ton/10aを達成する。しかし、生育予測の季節変動は確認できておらず、この方法で目標を達成できない場合にはさらなる高密植栽培が必要となる。ベンチ間隔を狭めて栽植密度を高めるためには、補光システムは薄型で放熱も少ないLEDが有利である。また、トマト葉におけるCO2の固定量増加は収量増にも繋がるため、高輝度LEDを用いた栽培試験を行う。
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