研究課題/領域番号 |
21380022
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
安藤 敏夫 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (30026588)
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研究分担者 |
児玉 浩明 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (70302536)
松原 紀嘉 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 助教 (70512250)
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キーワード | ペチュニア / アントシアニン合成系遺伝子 / 市販園芸品種 / 育種 / 網目模様 |
研究概要 |
ペチュニア市販園芸品種と野生種の比較により、品種に受け継がれている花色素合成系遺伝子の歴史を明らかにすることを目的として、本年度は網目模様形成遺伝子の解析、黄花・白花品種の原因遺伝子、同じ赤色の色素をもつ品種において色の濃淡を決める遺伝子の特定を行った。 網目模様の原因はDFRの発現抑制であるが、ゲノム塩基配列は正常であったため、An2を調べたところ、網目模様の市販品種ではAn2のゲノム塩基配列に機能欠損を起こす変異が見つかり、白花種であるPetunia axillarisの野生個体から報告されている変異と一致した。残念ながら、この既報告の野生個体がどこで採集されたものかは明らかでないため、品種の起源地の推定には使えないが、網目模様の育種の歴史が最初に交配に使われた野生種までさかのぼる可能性が示唆された。 黄花品種においてはDFRが全品種に共通して抑制されており、このためにアントシアニンの合成が行われず、中間産物を基質とするFLS遺伝子の働きによってフラボノールが蓄積することで黄色が発現していることが示された。その他の遺伝子は正常に発現しているため、DFRのみを特異的に抑制する因子の存在が示唆された。 白花については、P.axillarisではAn2の機能欠損によるアントシアニン合成系の抑制、白花品種においてはCHS-A遺伝子のsiRNAによるサイレンシングが知られていたが、今回黄花と同様にDFRのみが特異的に抑制される市販品種が確認された。 市販品種のうちレッド、サーモンと呼ばれる花色は同じシアニジン系のアントシアニンを蓄積するが、今回その花色の違いはその蓄積量のみで決まることを明らかにした。また、原因として従来考えられていたフラボノール合成酵素との基質の競合ではなく、F3Hの発現量の違いによることが判明した。
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