研究課題
RNAサイレンシングによるウイロイドの標的部位と分解過程を解明するため、Potato spindle tuber viroid(PSTVd)感染トマトに蓄積するPSTVd特異的small RNA(srPSTVd)の大規模塩基配列解析を行なった。まず、PSTVd感染トマトの葉と茎中のsrPSTVd蓄積量をノザンハイブリダイゼーションで解析した結果、srPSTVdは葉より茎で高濃度に蓄積し、プラス鎖由来は20-24塩基と27-29塩基、マイナス鎖由来は21-24塩基の多様なサイズが観察された。各々15-30塩基分画を調製し、イルミナ(GAII)で解析した結果、茎では葉の約34倍の90,869個のsrPSTVd配列(15-29塩基)が得られ、プラス鎖89,070個、マイナス鎖1,799個であった。従来のシークエンス法では得られにくかった23塩基より長いsrPSTVdが多数検出され、その多くは、PSTVd病原性領域(第50-80番付近)に由来し、PSTVdの環状化/切断点とされる第88-89番塩基を5'末端とするものが多数検出された。また21-22塩基のsrPSTVdでは第30番を5'末端とするものが最多で、26,903個であった。以上、第30-50番付近が最初の標的となること、第50-80番付近から生じるsrPSTVdは病原性発現に関与する可能性があること、RNAサイレンシングがウイロイドの複製に関与する可能性があることなどが今後の検討課題として明確になった。RNAサイレンシングと病原性の関連性を解析するため、サイレンシング関連遺伝子としてRDR6、病徴発現関連としてフラボノイド、ブラシノステロイド、ジベレリン生合成関連遺伝子をクローニングした。PAMVをベースにして改変したウイルスベクターを作製し、2本鎖RNAを発現する実験系を構築した。更に効率の高いノックダウン系の構築に向けてヘアピンRNAを発現する構築を進めている。またPAMV以外にもPVMをベースにして改変したウイルスベクターを作製中である。ウイロイド及びsrPSTVd配列に由来する人工ヘアピンRNAを発現するトマトの作出を目的として、アグロインフィルトレーションで人工ヘアピンRNAのサイレンシング誘導能とウイロイド抵抗性を評価する系を構築した。
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GMO Crops 1(2)(In press)
PLoS ONE 4(12)e8386
Breeding Science 59(4)
ページ: 419-426