研究課題
PSTVdに対する感受性の異なるトマト2品種(RutgersとMoneymaker)及びPSTVd由来の配列を遺伝子導入したトマト(Moneymaker)を用いて実験を行った。RutgersとMoneymakerにPSTVd-Intermediateを感染させると、Rutgersには激しい矮化と葉巻、Moneymakerには軽い矮化が現われた。健全葉と各感染葉からsrPSTVdを含む15-30塩基のsmall RNA分画を調製し、次世代シークエンサーによる大規模塩基配列解析を行った。また、PSTVd配列由来のヘアピンRNAを発現する形質転換Moneymakerは恒常的にPSTVdが感染・増殖した時と同じようにsrPSTVdを細胞内に蓄積していたので、同様にsrPSTVdを含むsmall RNA分画を調製し、次世代シークエンサーによる大規模塩基配列解析を実施した。その結果、PSTVd感染Rutgersではプラス鎖由来のsrPSTVdが圧倒的に優占し、Moneymakerではプラス鎖由来とマイナス鎖由来がほぼ同程度であった。両品種ともプラス鎖から生じるホットスポット部位は共通し、病原性領域と上部中央保存領域から多数のsmall RNAが生じていた。一方、マイナス鎖由来のsmall RNAには品種間差があり、Moneymakerのホットスポット部位はより多様であった(図1.赤矢印)。すなわち、ウイロイド感染で誘導・蓄積するウイロイド特異的small RNAは、そのホットスポットの位置、或はプラス鎖由来とマイナス鎖由来の比率、などの点において、品種特異性があり、病徴発現の強弱とも関連する可能性が示唆されてきたトマトのカルコン合成酵素遺伝子、マイクロトムの矮性因子p450d、細胞伸長に関与するエクスパンシン合成遺伝子(Le-exp1)、gibberellinβ-hydroxylase、オーキシン生合成酵素遺伝子などの遺伝子の一部をクローニングしてプローブを作成し、PSTVd感染による各遺伝子発現量の変化を解析した。その結果、既に研究代表者らが明らにしているtchs1、tchs2、Le-exp1に加えて、gibberellinβ-hydroxylaseもPSTVd感染による矮化・葉巻の発症に伴って発現量が低下することが確認された。
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