研究課題
これまでにシロイヌナズナに防御応答を誘導するエリシターMAMPとして細菌べん毛フラジェリンのflg22の他に、翻訳伸長因子EF-Tuのelf26などが同定されている。本研究ではまず、新規MAMPとして細菌DNAを同定した。シロイヌナズナに細菌DNAを処理した後にRNAを精製し、マイクロアレイ解析を実施した。その結果、並びに既発表のflg22やelf26処理後のマイクロアレイ解析データと併せ、MAMP処理により発現が誘導される受容体様キナーゼ(RLK)遺伝子を同定した。それらについて米国ソーク研究所などのシロイヌナズナT-DNAタグラインを取り寄せ、生育した。約4週齢の各タグラインシロイヌナズナの葉よりゲノムDNAを抽出し、タグされたRLK遺伝子のフオワードとリバースプライマー、T-DNA内部のLBb1.3の3つのプライマーを同時に供試してPCRを行った。取り寄せたタグラインには、T-DNAがホモでの挿入されているラインとホモでの挿入は確認されてないラインが存在したが、PCR解析の結果、ホモで挿入されているとされているタグラインにおいてもヘテロでの挿入ラインや全く挿入が確認されないラインも存在した。収集した全てのタグラインについてPCR解析を実施し、これまでに34のRLK遺伝子について、T-DNAの挿入によりホモで遺伝子が破壊されている41変異株を得た。これら変異株の一部について、シロイヌナズナ実生にDNAを処理して生育阻害実験を行った。これまでのところ、細菌DNAに対し、明確に非感受性を示す個体は見いだされていない。
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J. Gen. Plant Pathol. 75(3)
ページ: 227-234