研究課題
これまでにシロイヌナズナに防御応答を誘導するエリシターMAMPとして細菌べん毛フラジェリンのflg22の他に、翻訳伸長因子EF-Tuのelf26などが同定されている。本研究では、昨年度新規MAMPとして同定した細菌DNAに引き続き、細菌のタイプIV線毛の主要構成タンパク質であるpilAタンパク質のアミノ末端ペプチドが新規MAMPである可能性を指摘した。さらにPseudomonas syringae pv.tabaci (Pta)では典型的なPathogen-associated molecular pattern (PAMP)分子であるハーピンの遺伝子hrpZに内部欠損とフレームシフトがあり、防御応答誘導能を有するハーピンタンパク質が合成されないという以前の知見に基づき、Pta野生株にhrpZ遺伝子を導入し、ハーピンを生産するPta菌を作出した。その結果、本hrpZ相補株は本来の宿主タバコに対し、防御応答を誘導し、病原性が著しく低下したことより、本菌はタバコの防御応答を回避するためにhrpzに変異を導入したと考えられた。また、組換えハーピンを調製し、シロイヌナズナに対する予備実験を行った。また、シロイヌナズナにおいて、MAMP処理により発現が誘導される受容体様キナーゼ(RLK)遺伝子を同定し、それらにT-DNAが挿入されたタグラインを米国ソーク研究所などから取り寄せた。収集した全てのタグラインについてPCRによりホモラインであるか否かの解析を実施し、これまでに41のRLK遺伝子について、52のタグラインを整備した。
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Molecular Plant Pathology
巻: 12(in press)