宿主の7回膜貫通型タンパク質TOM1および低分子量GTP結合タンパク質ARL8は、トマトモザイクウイルス(ToMV)の効率のよい複製に必要である。脱液胞化植物プロトプラスト抽出液を用いた試験管内ToMV RNA翻訳複製反応をTOM1あるいはARL8を欠損するシロイヌナズナ生体膜を用いて行うと、マイナス鎖RNAの合成はほとんど検出されなかった。また、出芽酵母において、ToMV複製タンパク質とTOM1、ARL8の両方を共発現させると複製タンパク質はグアニリルトランスフェラーゼ活性を獲得したが、複製タンパク質によるRNA合成は検出されなかった。これらの結果から、複製タンパク質はTOM1とARL8が共存する膜との相互作用によりグアニリルトランスフェラーゼ活性を獲得できるが、ポリメラーゼ活性を獲得するにはさらに別の要因が必要であることが示唆された。
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