研究課題
現在、地球上で記載さえている動物種の約72%が昆虫である。種数では全昆虫の2%にすぎない社会性昆虫が、生物量では5割以上となり、地球上で最も繁栄しているともいえる。繁栄した要因として社会システムを獲得したことを挙げることができるが、病原微生物に対してそのシステムがどのように機能しているかについては不明の点が多い。本研究は,病原微生物に対する社会システム(社会性昆虫特有の防御メカニズム)の全体像を明らかにすることを目的としている。本年度はイエシロアリの触角がクチクラ上の微生物を短時間(1時間以内)にネストメイトの中腸内に移行すること、この現象が触角切除で減少ことから触角によって微生物の匂いを感知しているものと推定されているので、感覚子の同定とその役割について検討した。触角は病原性糸状菌の匂い刺激によりの後一連の過程を経て社会性行動(相互グルーミング)による病原菌除去の生体防御に進むものと考えられた。同様な現象はオーストラリア北部に分布しているムカシシロアリ科においても観察されている。また、イエシロアリが集団では病原菌に対して高い抵抗性を有するが、単独飼育では高い感受性を示す。この性状を利用して、新たな分離法を開発した。すなわに、従来の釣り餌法を改良して(シロアリを餌として用いる)Metarhizium属糸状菌の高率のよい分離法を開発した。現在、分離された糸状菌を同定中であるが、新種含まれている可能性が高い。また、従来タイワンカブトムシに特異性があるといわれるM. anisopliae var.majyusがイエシロァリに病原性があることを解明した。
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