1.ホールマウントin situハイブリダイゼーションにより、カイコ神経ペプチド受容体の中枢神経系における発現細胞のマッピングを試みた。49個の受容体遺伝子のうち、10個に関しては中枢神経系における発現シグナルを確認した。例えば、Adipokinetic hormone/corazonin-related peptide (ACP)の受容体と推定されるBombyx neuropeptide G protein-coupled receptor (BNGR)-A28は、脳中央部の2対の大型神経分泌細胞における発現が確認された。 2.神経ペプチドの産生細胞および輸送経路を特定するために、ニューロペプチドFやスルファキニン、色素拡散ホルモンなどいくつかのカイコ神経ペプチドに対するマウス抗体を作製した。これらの抗体はホールマウントin situハイブリダイゼーションによりmRNAの発現シグナルが検出された中枢神経系上の細胞を染色したことから、それぞれのペプチドを特異的に認識することが確認された。 3.ホールマウントin situハイブリダイゼーションおよび免疫染色の結果から、アラトスタチンCCは脱皮期後半に食道下神経球のバーシコン(脱皮後の皮膚の着色・硬化を誘導する神経ペプチド)産生細胞で強く発現することが確認された。バーシコンと同じ細胞で発現が確認されたのはアラトスタチンCCが初めてであり、バーシコンと同様脱皮の制御に重要な役割を果たすことが推定された。
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