研究課題
基盤研究(B)
カイコ培養細胞を用いたRNA干渉及び過剰発現実験から、Etsファミリーに属する転写因子「BmEts」はDNAウイルスである多角体病ウイルス(BmNPV)のカイコ細胞内での増殖の抑制に関わることが示された。また、BmEtsはBmNPVの細胞内増殖に必須なウイルス前初期遺伝子の発現を抑制することでBmNPVの細胞内増殖を抑えていることが示され、さらにBmEtsの前初期遺伝子プロモーターに対する抑制機構が明らかにされた。BmEts遺伝子は細菌感染によっても発現が誘導される細菌感染応答遺伝子でもあり、BmEtsはカイコ抗菌性ペプチドの一つであるレボシン遺伝子の発現を活性化させる機能があることも明らかとなった。一方、BmToll10-3はカイコ培養細胞での過剰発現実験から、前初期遺伝子のプロモーター活性の上昇がみられたことから、BmToll10-3はBmEtsとは拮抗的に働き、前初期遺伝子プロモーター活性の上昇に関わる転写因子の活性化の引き金を引く因子であることが推測された。今回得られたこれら結果は昆虫DNAウイルスに対する昆虫の生体防御機構を明らかにする上での重要な知見となりうる。
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