前年度に行ったフゾリン遺伝子の酵母外来遺伝子発現系利用の試みはフゾリンシリーズの一部のタイプのみの導入に終わり、またその発現も確認できなかったため、本年度に遺伝子導入を再び試みた。その結果、全てのタイプのフゾリン遺伝子(フゾリン遺伝子全長+Hisタグ、フゾリン遺伝子全長のみ、フゾリン遺伝子の活性部位+Hisタグ)の酵母(Pichia pastries x-33)への導入がPCRにて確認された。現在、組換え体からフゾリン遺伝子コピー数のより多いクローンの選抜とフゾリンの発現確認実験を行っている。 前年度に得られた222kbシーケンスの遺伝子構造とアセンブルされたリードを解析したところ、本来3'側に存在すると考えられるターミナルインバーテドリピート(ITR)の大半が5'側の同にミスアセンブルした可能性を発見した。そこで、3'側のITRの存在の確認とそのシーケンスの解読を試みた。プラグ内でウイルス粒子からのDNA抽出と制限酵素SacI処理を行い、パルスフィールド電気泳動で3'片(約37kb)を分離し、ショットガンライブラリーを作製後シーケンスを行った。その結果、末端部24kbはゲノム5'末端部と対をなすITRであることが判明した。従って、AcEPVのゲノムサイズは246kbであることが判明した。さらに、ゲノムに対してアノテーションを行い243のORFを認めた。 代替え宿主の探索(宿主範囲の調査)では、コフキコガネおよびオオコフキコガネ幼虫のための培養土の組成を改良して接種・飼育を行ったが感染は観察されなかった。また、サトウキビ害虫のケブカアカチャコガネ3齢幼虫も発病が認められなかった。
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