研究課題
黄繭遺伝子(C)を持つカイコは、体液がカロテノイドを豊富に含む黄血(Y)ならばカロテノイドが絹糸腺に取り込まれ、繭は黄色となる。一方、劣性の対立遺伝子+^Cをホモに持つ場合は、カロテノイドが絹糸腺に移行せず、繭は白色となる。Cの分子実体をポジショナルクローニングによって同定した。Cは、哺乳類において血漿高密度リポタンパク質から細胞への脂質移行に関与するスカベンジャー受容体クラスBタイプI(SR-BI)の相同遺伝子Cameo2(C locus associated membrane protein homologous to SR-BI 2)であった。絹糸腺におけるCameo2の発現量をC系統と+^C系統で比較したところ、+^C系統において発現が強く抑制されていた。絹糸腺膜画分についてWestern解析を行ったところ、Cameo2は+^C系統においてタンパク質の発現も抑制されていた。中腸や精巣におけるCameo2の発現を調べたところ、C系統および+^C系統の両方で同様の発現が見られ、+^C系統における発現抑制は絹糸腺特異的におこっていることが分かった。また、黄血白繭を作るカイコにcameo2遺伝子を強制発現させたカイコが作出された。このカイコは、中部絹糸腺にも黄色の着色が復帰し黄繭が作られた。以上のことから、田中義麿によって報告されたC遺伝子の分子実体は、リポホリンレセプターであり、リポホリンからルテインのみを選択的に取り込むタンパク質であることが分かった。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (11件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)
Jounal of Insect Physiology 55
ページ: 1065-1071
Comparative Biochemistry and Physiology Part B 155
ページ: 363-370
Journal of Biological chemistry 285
ページ: 7739-7751
生化学 81
ページ: 27-31
Biochemistry 48
ページ: 4798-4807