研究課題
カロテノイドが血液から組織に取り込まれる際、決まったカロテノイドを選択的に取り込むことが知られている。申請者はカイコにはカロテノイドの選択的輸送に異常のある突然変異体が存在することから、カイコを用いてカロテノイドの認識機構の研究を行った。750種類以上存在するカロテノイドのうち、ルテインのみを取り込む機構の解明のため、絹糸腺細胞にルテインを取り込むことができない突然変異体を用いて、この原因遺伝子をポジショナルクローニングすることから研究を始めた。ある程度絞り込んだゲノム領域に存在する遺伝子について、対立遺伝子間での配列あるいは発現の違いを、ノーザンブロッティング、シークエンスなどで調べ、候補遺伝子配列を得ることができた。この候補遺伝子が、真の分子実体であるかの証明をするために、候補遺伝子をトランスジェニックの手法で導入し、表現型の復帰が起こるかどうか検討した。また、カロテノイドの認識機構を解明するためにリコペン、アスタキサンチン、フコキサンチン等をカイコ人工飼料に添加し、摂食させて繭まで搬送できるかを検討した。ルテインの特異的取り込みに関わる分子実体は、哺乳類において血漿高密度リポタンパク質から細胞への脂質移行に関与するスカベンジャー受容体クラスBタイプI(SR-BI)の相同遺伝子であることが判明した。このレセプターは血液リポタンパク質の受容体であり、リポタンパク質からルテインやアスタキサンチン等のキサントフィルを認識すると考えられた。
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Genetics
巻: 187 ページ: 965-976
Comparative Biochemistry and Physiology Part B
巻: 55 ページ: 1065-1071