イネのホウ素過剰耐性品種間差には4番染色体上のQTL遺伝子BET1が関与している。本研究課題では、BET1遺伝子をマップベースドクローニングの手法を用いて単離すること、及び、ホウ素感受性インディカ優良品種IR64にホウ素過剰耐性ジャポニカ品種コシヒカリのBET1をマーカー育種の手法で導入しホウ素過剰耐性の系統を作出することを目的としている。平成22年度は以下の検討を行った。ホウ素過剰感受性系統SL18を用いてBET1候補遺伝子であるOs049047730の発現を抑制したRNAi形質転換体を作出し、そのホウ素過剰耐性を評価したところ、発現抑制株では野生株(SL18)に比べてホウ素過剰に耐性になったことから、この遺伝子がBET1であると結論した。BET1の機能についての解明をすすめている。また、コシヒカリとIR64の交雑後代のIR64への戻し交配をさらに一世代すすめ、QTL領域以外がほぼIR64由来となった数系統を得た。幼苗を用いたホウ素過剰耐性の検定試験によって、これらの系統はIR64に比べてホウ素過剰に耐性であることが確認された。今後、登熟までの栽培試験を行い、ホウ素過剰耐性程度を評価する予定である。
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